外国メディアの習近平重病説報道 「20大」を控えた世論戦か

中共の第20回全国代表大会を控え、習近平総書記に関する様々なうわさが拡散され、反習近平派が意図的に世論戦を仕掛けているのではないかと疑われています。一方習近平総書記は、軍全体に対し党史の学習を常態化させ、軍隊に対する思想管理を強化しています。

最近、李克強総理が党メディアに露出する割合が大幅に増えたとの情報がインターネットに拡散されましたが、海外ウェブサイト「阿波羅網」が調査の結果、5月に官製メディア「人民日報」の記事のタイトルで李克強総理の名前が出たのは合計4回で、世論が騒ぎ出す前の4月には11回だったため、増えるどころか逆に減っており、うわさは事実無根と報じました。

これより前、海外では習近平総書記が脳腫瘍とすい臓がんのステージ3で、すでに起き上がれない状態だとの報道が相次ぎました。しかし、これについて台湾国家安全局の陳明通局長は、把握している状況に基づくと、習近平総書記の健康状態は「メディアが報じているようなひどい状況にはない」とし、これらの報道を否定しました。

英デイリーメールとタブロイド紙のザ・サンが最初に習総書記の「脳腫瘍」について報じましたが、そのソースはすでに削除された中国のブログ情報でした。ブログから記事を作成したことについては、西側諸国の報道基準に背いたと非難の声も上がっています。阿波羅網の評論家は、もしアクセス数を稼ぐためでなければ、中共の内部闘争に加担している可能性があるが、彼らは反習近平だが反共産党ではなく、習近平が失脚したあとも、江沢民時代のようにこっそりと蓄財し続けたいと考えていると指摘しています。

国内外の世論攻勢を受け、習近平総書記も反撃に出たようです。中共中央委員会事務局は15日に、すでにリタイアした元中共幹部は中央政府の政策方針に対しでたらめな議論をするべきでないと警告する文書を通達しました。つまり、反習近平派に対し「口を閉じろ」とのメッセージを発したことになります。

中共軍メディアの「解放軍報」は22日、第一面で「軍隊に対する党史学習教育常態化の長期的効果に関する意見」を報じ、いわゆる「全面的な党内引き締め」を強調し、軍に対する党の洗脳教育と思想管理を強化する姿勢がうかがえました。

これについて、習近平総書記の今回の措置は、政治的なうわさが広まる中で、異変の発生を未然に防ぐため、この種の方法で全軍を規制するためのものであるうえ、第20回全国代表大会の前に軍部の中から新たな「大トラ」を失脚させることも意味しているとの分析があります。

注目に値する点は、中共軍事委員会弁公庁主任は習近平総書記の腹心の部下である鍾紹軍(しょう・しょうぐん)氏であり、同氏はさらに軍の中で複数の重要ポストを兼任しているうえ、軍事委員会の中枢と極秘事項を管理しており、習近平総書記に代わって「軍を監督管理」する役割を担っていることです。

 
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