アリババ幹部も逃げ出す上海の感染症対策 その後火消しに躍起

上海感染症対策の背後で行われている上層部の熾烈な闘争によって、庶民が大きな苦難を強いられています。インターネットには先日、中共副総理の孫春蘭と上海市共産党委員会書記の李強が上海の感染症対策にからんで激しい闘争を繰り広げているため、庶民が政治的な犠牲になっているとほのめかす投稿が広まりました。このほか、アリババの副総裁が上海の感染症対策の混乱に耐えかねて深夜に上海から逃げ出したことも、ネットユーザーの議論を引き起こしました。

14日、アリババグループの賈揚清(か・ようせい)副総裁がフェイスブックに英語で、上海から出国して飛行機で米国に到着したと投稿しました。しかし、この件が注目を集めると賈揚清氏はこの投稿を削除し、ウィーチャットのモーメンツ(朋友圏)にこの投稿を否定する内容を投稿しています。

賈揚清氏は当初フェイスブックに英文で、「上海での体験はまるで悪夢で、飢えと混乱に満ちていた」と投稿していました。投稿によると、賈揚清氏は18日間の隔離の後、「コネ」を頼って通行証を入手し、「午前4時にトラックの後部座席に座って静寂の都市を横断して」上海空港に向かい、「『言わずもがな』の方法によって警察の検査ステーションを通過し」、最終的に米国行きの飛行機に乗ったとあります。深夜の逃亡劇はまるで映画のワンシーンのようです。

賈揚清氏は元フェイスブックのエンジニアディレクターで、2019年にアリババに移りました。今回の投稿が注目されると、賈揚清氏はすぐにこれを削除し、ウィーチャットのモーメンツに今回の米国行きは逃げ出したのではなく出張だとする「釈明文」を中国語で投稿しました。それによると、「コネ」というのも単なる友人であり、この人物はタクシーを手配してくれただけで、何の「特権」もないと弁明しています。

上海の状況が混迷を極める中、中共の孫春蘭副総理が上海で感染症対策の陣頭指揮を取り、上海の感染症対策を「的確な防止・制御」から「動的ゼロリセット」に改め、三区分管理と全市PCR検査を強力に推進するよう求めました。三区分管理とは、市内を「封鎖管理区」「統制管理区」「予防管理区」の3つに分けて管理を行うことです。

すると上海市委員会書記の李強は、今年の第20回全国代表大会での常務委員入りのために反撃を開始し、三区分管理の停止を求めました。

こうした状況の中で、あるネットユーザーが中国のインターネットに先日、孫春蘭と李強が責任転嫁の戦いを繰り広げていることを暗に示す内容を投稿しました。

そこには、「これは政治闘争の茶番だ。舞台は上海で、小道具は2600万人の上海市民だ」と記されています。

また、ある分析によると、反習近平勢力は上海の感染症対策の混乱に乗じて、習近平総書記の感染症対策を強く批判していると考えられています。江沢民と曽慶紅をバックにもつある海外メディアは12日、「上海の『的確な防止・制御』感染症対策に間違いはない」とする一文を発表して習近平総書記の「動的ゼロリセット」政策をあからさまに批判しました。

一方で、中共党メディアは上海市当局幹部の「ねそべり」、つまり感染症対策の実質的な放棄を強く批判し、4月10日までに上海市紀律検査委員会が幹部8人を「感染症対策の努力不足」を理由に処分しています。

 
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