中国 「共同富裕」政策を減速

中共当局は、その最も野心的な政策の一つである「共同富裕」政策を減速させる可能性があります。中共当局はこの計画は貧富の格差を是正するためのものだと言っていましたが、なぜ心変わりしたのでしょうか。

習近平総書記は中国の重要政策を減速させるのでしょうか。中国では2021年、「共同富裕」のスローガンが至る所で見られました。官製メディアや学校、そして習近平総書記の演説にも登場しました。しかし、今年はこの言葉への言及が少なくなっているようです。中国共産党が今年最初に発表した17,000字の報告書の中で、一度だけ登場しました。

では、中共当局は共同富裕政策を諦めたのでしょうか。政治学者で経済アナリストのイーサン・ヤン氏は、習近平がこの政策から手を引くことはないだろうと指摘します。

非営利団体シンクタンク 米国経済研究所 イーサン・ヤン氏
「習近平は11月に3期目の続投を控えている。そのため彼の中には、これまで発表した中で最も野心的な経済政策の一つを失敗したと認めて、選出に臨むことはできないという気持ちがあるのだと思う。おそらく、少しばかり勢いを抑えることができるだろう」

では、共同富裕とは何でしょうか。一言で言えば、習近平総書記が貧富の格差を是正するための方法であり、中国経済を再構築するためのツールなのです。

共同富裕の実例として、中国の大手ハイテク企業に対する規制当局による巨額の罰金があります。例えば、アリババがその一例です。

では、なぜ習近平は共同富裕政策の手綱を緩めるのでしょうか。

非営利団体シンクタンク 米国経済研究所 イーサン・ヤン氏
「投資家が自信を喪失していることが主な理由だと思う。その結果、中国の株式市場は、直後に大きく下落した。規制当局による巨額の罰金もそうだが、投資家がそれを目の当たりにしたからだ。中国の規制環境がより政治的になり、標準的な経済理論に基づいた首尾一貫したものではなくなっていくのを見てしまったのだ。中国(共)政府もそのことを理解しており、それが問題であることも理解している」

規制強化の理由は何だったのでしょうか。ヤン氏は、「これは、中国の中小企業を後押しするための共同富裕政策の一環であった」と述べています。

非営利団体シンクタンク 米国経済研究所 イーサン・ヤン氏
「中小企業が台頭することによって、経済に多様性が生まれ、競争が激しくなるのだ。うまくいかなかったのは、政府がどのような企業が成功し、どのような企業が成功しないかをよく分かっていないからだ。つまり、基本的には経済的な現実よりも誰かの意見なのだ」

ヤン氏は、共同富裕政策は、20世紀に失敗に終わった、中共の計画経済政策に似ていると指摘しています。

〈字幕版〉

 
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