中共当局 チベットへの締め付け強化 民族意識への警戒感高まる

本日の番組では、視聴者の方からいただいた質問にお答えして、チベットの現状についてお伝えします。

現在、チベットでは中国共産党により学校で中国語の使用が強制されています。これは、チベット人の民族文化との結びつきを弱め、代わりに中国文化を植え付けることを目的としています。

冬休みが終わり、学校に戻ったチベット人生徒たちは、中国語でしか授業が行われていないことに気づきました。

米政府系放送局、ラジオ・フリー・アジアによると、チベット語の授業を除いて、数学、科学、美術など他の科目はすべて中国語で教えられているとされています。また、習近平総書記の政治思想も教育の重要なテーマになっています。

教育以外では、宗教施設に対する監視が昨年よりも、さらに厳しくなっています。

内部関係者がラジオ・フリー・アジアに語ったところによると、今月、中共当局による寺院への監視が強化されています。これは、チベットの首都ラサにおいて中国共産党による抑圧的な統治に反発して、チベット人による民衆蜂起が発生した3月10日の記念日を意識した動きだと考えられています。

また2月25日には、チベット人の人気歌手ツェワン・ノルブさんがラサのポタラ宮殿の前で抗議のために焼身自殺を図ったこともあり、チベット人への監視が一層強まったとされています。

中共当局による宗教迫害及び人権弾圧を報道するイタリアのオンライン雑誌、ビター・ウィンターによると、チベットの著名な僧侶・喜饒嘉措(Go Sherab Gyatso、ゴー・シェラブ・ギャツォー)氏がラサの刑務所での拷問により健康状態が悪化していると報じています。

喜饒嘉措氏は昨年、当局により「国家分裂扇動罪」に問われ、10年の懲役刑が言い渡されていました。

チベット亡命政府は、喜饒嘉措氏の拘束について、チベット問題に関する意見を平和的に表明したためだと発表しています。

チベット高原、ヒマラヤ山脈一帯は、「世界の屋根」とも呼ばれ、エベレストを含む広大な高原や山々を有しており、チベット自治区には360万人が居住しています。

チベットとその周辺地域には、600万人以上のチベット人と750万人の中国人が住んでいます。中共当局の中国人移住政策が大きく影響し、同地域ではチベット人は少数派となっています。

1950年代、人民解放軍によりチベットが占領されました。それ以降、相次ぎチベット人による抗議活動が行われています。

1959年3月10日、数十万人のチベット人がダライ・ラマ14世が住むポタラ宮殿を取り囲みました。ダライ・ラマ14世は、チベットの都市ラサ駐屯の中共軍から観劇の招待を受けたものの、チベット人は中共当局によるダライ・ラマ14世の拉致を防ごうとした結果、中共軍と衝突し、動乱に発展しました。ダライ・ラマ14世はインドに亡命し、現在に至っています。

 
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