中国東方航空墜落事故 極めて珍しい「断崖式」墜落

3月21日午後に発生した中国・東方航空ボーイング737墜落事故の原因について、さまざまな憶測が広がっています。今回の事故原因について、航空機操縦士にお話を伺いました。

国際民航追跡ウェブサイトflightradar24(フライトレーダー24)に表示された飛行記録によると、墜落した東方航空ボーイング737-800型機MU5735便は3月21日13時11分に昆明を離陸し、予定では15時5分ごろに広州に到着するはずでしたが、14時20分に広西チワン族自治区の梧州市上空を飛行中に、高度9000メートルから約900メートルまで急降下し、14時22分に消息を絶ちました。

MU5735便は2分間で8000メートル以上も急降下しており、このような「断崖式」の垂直墜落事故は、過去の航空機事故の中でも類を見ないため、墜落前に何があったのかとさまざまな憶測が広がっています。

現時点では、機械の故障と操縦士が故意に機体を急降下させるという自殺行為に及んだという二つの原因が考えられています。この点についてベテラン操縦士の高飛さんに、専門家としてのご意見を伺いました。

ベテラン操縦士 高飛氏
「ボーイング737-800型機は、私もよく操縦している。この飛行機はとても優れた航空機で、長年にわたり特に異常な設計問題などは見つかっていない。事故当時の数分間で急降下したことについて、率直に言って我々専門家も非常に驚いている。エンジン2台に不具合が出たとしても、航空機は空中を惰性飛行できるし、しかも惰性飛行した場合、3万フィート(約9100メートル)、最低でも100キロメートルの惰性飛行は問題ないはずだ。もし人間が故意に操縦したとしたら、それは可能だ。つまり、人間が故意に飛行機の機首を下げて急降下させた場合は、可能なことだ」

天候の悪化が今回の事故を招いたのでしょうか。この可能性も現時点では否定できません。MU5735便が墜落する4時間前に、梧州当局は大気の状況が不安定となり、局地的な豪雨、落雷、竜巻などが発生すると予報していました。

ベテラン操縦士 高飛氏
「航空機が落雷を受けて機内のすべての計器が壊れて2台のエンジンも機能を喪失し、そのうえ気流によって機体が揺れて、機首から垂直に落下したのではないかとの推測も耳にした」

今回の事故原因について現時点ではまだ憶測の域を出ておらず、詳細はブラックボックスの回収を待つしかない状況です。とはいえ、航空機が高速で地上に墜落した時に機体が激しく爆発したため、内部のブラックボックスが無事かどうかは分かりません。

今回墜落したボーイング737-800の寿命はわずか6年で、ボーイング737シリーズは世界で最も広く採用されている旅客機です。

シンガポールに拠点を置く「端傳媒(Initium Media、イニシウム メディア)」の統計によると、過去20年の間に中国大陸では民間航空機事故が5件起きており、そのうち3件は乗組員のミスが原因でした。今回発生した東方航空墜落事故は、今世紀に入って中国で発生した最も深刻な航空機事故となりました。

事故発生後、乗客の家族が広州白雲空港にかけつけています。しかし現時点で生存者に関する情報は入っていません。

MU5735便には、乗組員を含め合計133人が搭乗していたと報じられていましたが、その後乗客一人が搭乗していなかったことが分かり、132人に訂正されました。中国メディアによると、搭乗しなかったのは黄という男性で、昆明に行き、それからこの飛行機に乗り換えて広州に行く予定だったが、天候不良で昆明行きの便が欠航となったのでこの便もキャンセルしました。その結果、事故に巻き込まれず、九死に一生を得ました。

 
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