中国人民主運動家が寝返って中共の諜報員に

米司法省が先週逮捕した中国人諜報員5人のうち、一人は民主活動家として知られる王書君でした。スパイ活動に対する米政府の今回の大々的な逮捕と起訴は、中共に命を売った一部の人に対し警鐘を鳴らしているのではないかと分析する声もあります。

米司法省によって起訴された中国人諜報員5人の中に、ニューヨークの民主活動家・王書君が含まれていたことは、世論を騒然とさせました。

今年73歳の王書君は2006年に「胡耀邦・趙紫陽財団」の事務局長に就任し、2020年に体調不良を理由に副事務局長になりました。

最近刺殺されたニューヨーク在住の民主活動家の李進進弁護士は、かつて王書君と同じ財団で働いていました。米司法省は、王書君は2015年から中共国家安全部の下で反体制派に関する情報収集を行っていたと指摘しています。

ニューヨーク在住の人権派弁護士 葉寧氏
「この二つの事件について、米政府は直接的な関連性は説明していないが、中共は現在、ハニートラップと暗殺という手段によって、米国でこのような諜報(活動)を行っているのだと言外に示している。米国が発しているシグナルは非常に明確で、我々米国政府をバカだと思うな、お前たちがやっていることを何も知らないと思うな、という意味だ」

米司法省の起訴状によると、王書君は中共に香港の民主派に関する情報も提供しており、このために2020年4月に香港の活動家1人が逮捕されたことも明らかになりました。

香港の時事評論家 程翔氏
「中共は海外の民主活動家に対しある戦略を講じている。それは、民主活動家の内部に入り込み、リーダーになり、民主活動家を分裂させ、民主運動を消滅させるという方針だ」

雑誌『北京の春』名誉編集長の胡平氏は、中共が米国の民主活動家グループの中で諜報勢力を拡大するために取っている手法が二つあると指摘しています。

雑誌『北京の春』名誉編集長 胡平氏
「一つは『入り込む』ことで、もう一つは『引っ張り出す』ことだ。『入り込む』とは、中共のスパイが自分の身元を隠して我々の側に潜入することを指している。今把握している情報によると、王書君はおそらく二つ目に該当する。つまり、『引っ張り出す』だ。本来は我々の側にいたのに、信念が足りず、自分の損得勘定を考慮して一種の条件を受け入れたのだ」

起訴状によると、有罪が確定した場合、王書君容疑者には最高20年の実刑判決が下される可能性があります。これについて胡平氏は、米司法省の今回の措置は中共の海外諜報活動を震撼させる働きがあると分析しています。

雑誌『北京の春』名誉編集長 胡平氏
「このように大々的に行われるのは今回初めてで、これは米国政府の決心を表している。共産党にすり寄り、共産党の指示を受けて悪事を働く人間に対し、警鐘を鳴らしたのだ」

香港在住の時事評論家・程翔氏は、海外在住の中国系住民に対し、中共と中国は分けて考えるべきだと呼びかけています。

香港の時事評論家 程翔氏
「ナショナルアイデンティティは中国系住民の中で非常に強い。我々は非常に慎重に、国に対する情熱と、中共が行っていることを明確に分けて考える必要がある。これを分けて考えられなければ、いつか彼らは中共の統一戦線の手段によって、あなたをとりこにするかもしれない」

 
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