中国 株式市場安定化に向けた政策導入へ

投資不安払拭図るも「具体策見えず」

中国共産党の劉鶴副首相は3月16日、国務院金融安定発展委員会の会議で中国株式市場の安定化を目指すとの方針を発表しました。

今年に入ってから、中国株の下落が一段と強まり、今年1月から劉鶴副首相の方針発表前の3月15日にかけて、CSI300指数の17%に当たる約1兆3千億ドルが消失するなどで、中国株式市場に対する投資家の萎縮ムードが広がっていました。

劉鶴副首相の発言通り、中国経済は落ち着きを取り戻すことはできるのでしょうか。中国市場に投資したいと思う投資家が増える見込みはあるのでしょうか。

習近平政権の経済ブレーンとされる劉鶴副首相は、政府各部⾨が責任を持って市場に有利な政策を積極的に導入すると述べました。投資家らの中国株式市場に対する不安⼼理を払拭する狙いがあるものと見られます。

劉鶴副首相の市場安定化発言について、金融通信会社「Vested(ベスティド)」のチーフエコノミスト、ミルトン・エズラティ氏は、投資家らの懸念払拭は容易ではないと述べています。

Vested社チーフエコノミスト ミルトン・エズラティ氏
「言葉だけでは信頼に足りない。西洋の古い表現で言えば、彼らは中共が金を払えるかどうかを見たいのだ(see the color of his money)。要するに、彼らは政府が口先だけでなく、具体策を打ち出すことを期待している」

投資顧問企業「マクロレンズ」のチーフストラテジスト、ブライアン・マッカーシー氏は投資家に向け、注意すべき点をいくつか挙げています。

マクロレンズ社チーフストラテジスト ブライアン・マッカーシー氏
「中国のハイテク企業は、広く取り締まりを受けている。それらの企業は主に国家のために存在し、株主は二の次と言える」

マッカーシー氏は、地政学的な観点からも懸念すべき点があると指摘しています。

マクロレンズ社チーフストラテジスト ブライアン・マッカーシー氏
「もし米国が中国に制裁を科し、世界各国を米国陣営と中国陣営に二分するような、急速かつ非常に深刻なデカップリングに突入すれば、中国のハイテクやその他すべてが崩壊すると思われる。S&P株価指数も同様だ」

また、エズラティ氏は投資家への懸念も述べています。

Vested社チーフエコノミスト ミルトン・エズラティ氏
「不良債権は相も変らず不良債権のままだろう。さらに多くの企業が債務不履行に陥るというリスクも懸念される。中国人であろうと、外国人であろうと、中国市場に関わる者は皆、このリスクをよく認識している」

マッカーシー氏とエズラティ氏は、中国への投資を考えている人に向けて見解を述べました。

マクロレンズ社チーフストラテジスト ブライアン・マッカーシー氏
「中国に投資する人は、大きな不安を抱くはずだ」

Vested社チーフエコノミストミルトン・エズラティ氏
「もし私が投資家で、お金の使い道がない場合、つまり5年や10年の間、資金を投資してもいいと思う場合、私は買うだろう。もし、1年か2年のうちにお金が必要になったら、売るだろう」

エズラティ氏は、中共政権が経済問題を解決する準備ができているとは思えず、具体策が見えていないと述べています。

 
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