中国はロシアの制裁回避に手を貸すか

2月4日、中共の習近平総書記は北京冬季五輪の開会式に合わせて、ロシアプーチン大統領と会談を行いました。その後、共同声明を発表し、両国の友情に「限界はない」と述べました。

しかし今、その友情は試練に直面しています。

ロシアのウクライナ侵攻で、すでに多くの犠牲者が出ています。西側諸国はロシアに対し、強力な制裁措置を発表しました。

ジョー・バイデン米大統領
「ロシア最大手銀行や国際金融システムを遮断し、ロシア中央銀行がルーブルを守れないようにし、プーチンの6300億ドル(約73兆円)の戦争資金を無価値にする」

「プーチンは必ず失敗すると思う」

欧州委員会委員長 ウルズラ・フォン・デル・ライエン氏
「この経済制裁の一括法案には、ロシアの最も重要な資本市場へのアクセスを遮断するという金融制裁が含まれている。目下、ロシアの銀行市場の70%がその対象だ。ロシア経済と政治エリートに最大限の影響を与えるだろう」

制裁による影響は、すぐに現れました。

ジョー・バイデン米大統領
「ルーブルは既に30%も値を下げた。ロシアの株式市場は40%下落し、取引は中断されたままだ」

アジア・タイムズ副編集長 デビッド・ゴールドマン氏
「おそらくこれでロシアの経済規模は20%縮小するだろう。来年以降は壊滅的な打撃がやって来る」

西側諸国の制裁に苦しむロシアに、中共が命綱を投じるかどうか、多くの人が注目しています。しかし、中共がロシアを助けた場合、リスクはないのか、また実際どの程度の援助ができるのでしょうか。

今のところ、中共当局はロシアのウクライナへの攻撃を侵略と呼ぶことを拒んでいます。また、欧米の制裁には法的根拠がないと主張しています。

中国銀行保険監督管理委員会(銀保監会、CBIRC)主席 郭樹清氏
「我々はこのような制裁に加わることはなく、全ての関係者と通常の経済、貿易、金融の交流を続けていく」

米国の制裁では、米国の金融機関が、制裁対象のロシアの銀行と取引することを禁止しています。

MRV アソシエーツ経営パートナー マイラ・ロドリゲス・バヤダレス氏
「例えば、米国にある中国の銀行が何らかの形でロシアに送金しているとしよう。あるいは、ロシアやドイツ、その他の国にある中国企業でもいい。その通り、それは制裁に違反することになるのだ。しかし、中国国内の中国企業がロシアと取引をしている場合、それは私たちの制裁に違反してはいない」

しかし、そこには裏があります。バヤダレス氏は、世界の最先進国が同時にロシアに制裁を加えることで、中国を思いとどまらせる可能性があると指摘しています。

MRV アソシエーツ経営パートナー マイラ・ロドリゲス・バヤダレス
「米国は、中国がもしこの取り組みに協力したくないのなら、中国製品をこれ以上買わないようにすると決めることができる。それは制裁ではないし、誰も中国製品を買うことを強制しない。つまり、各国が中国に対して、必ずしも公式な制裁を課さないまでも、少なくともロシアに助けの手を差し伸べることがないように、敢えて言えば、あらゆる種類の他の手段を使うことができるのだ」

バヤダレス氏は、欧米が協力して制裁を課している時に、なぜ中共はわざわざロシアを助けるのか、理解に苦しむと言います。

MRV アソシエーツ経営パートナー マイラ・ロドリゲス・バヤダレス氏
「ロシア政府が衰えれば衰えるほど、ロシアは経済的に衰える。そして、その政治的影響力もだ。つまり、現在中国(共)が経済的優位性として、全体の多くを占めていることを意味する。また、政治的行為全体でも大きな部分を占めることになるのだ」

中国は2月24日、病害を理由に制限していたロシア産小麦の輸入を全面解禁しました。また、2月28日にはロシアとエネルギー協定を締結しました。この合意により新規パイプラインが設置され、毎年1兆立方フィートを超える天然ガスが中国に供給されます。

バヤダレス氏は、中共の行動はロシアを救うのに十分ではないと考えています。

MRV アソシエーツ経営パートナー マイラ・ロドリゲス・バヤダレス氏
「中国(共)があらゆる金融取引や商取引を積極的に増やすことにしても十分ではない。何か月も前に始めなければ、これだけのことはできないのだ」

ニュースサイト「アジア・タイムズ」のエコノミスト兼副編集長のデビッド・ゴールドマン氏は別の見方をしています。

アジア・タイムズ副編集長 デビッド・ゴールドマン氏
「中国(共)はロシアを助ける気がないのではない。現時点では、西側の怒りを招くような形で、ロシアを助けたくないのだ。自分の立場をより困難にしているからだ。中国(共)は、ロシアが制裁を回避するのを助けるためにあからさまな手段は取らず、静かで検出不可能な方法でロシアを支援するつもりだ。中国(共)はロシアの石油販売を助けるだろう。その輸出など」

ゴールドマン氏は、北京はロシアからより多くの石油を購入することに戦略的関心を持っていると指摘します。

アジア・タイムズ副編集長 デビッド・ゴールドマン氏
「中国(共)は、ペルシャ湾から購入しタンカーで運ばれる石油が、米中間の戦略的対立の際に、米海軍に阻止されるかもしれないという懸念を心の奥底に抱いている」

これらの障害に対処することと比較すると、ロシア産の石油はより良い選択肢となります。

アジア・タイムズ副編集長 デビッド・ゴールドマン氏
「パイプラインで運ばれるので、海上輸送よりも安全だ」

欧州連合(EU)は、天然ガスの40%以上をロシアから輸入しています。

アジア・タイムズ副編集長 デビッド・ゴールドマン氏
「中国(共)は、ロシアの孤立という弱点を利用し、中国(共)に財政的に有利な条件でロシアからのエネルギー調達を増やすことを試みると思う」

ゴールドマン氏は、長期的には、中共はロシアを助ける立場にあると述べています。

アジア・タイムズ副編集長 デビッド・ゴールドマン氏
「中国の経済規模はロシアの約10倍だ。従って、中国がロシアの石油生産量を事実上すべて購入することができるのは間違いない」

ゴールドマン氏は、こうした危機が中共とロシアの関係をより密接にすることになると懸念しています。

アジア・タイムズ副編集長 デビッド・ゴールドマン氏
「これは西側諸国にとって非常にまずい展開になる。ロシアと中国(共)の間の関係改善よりも、ロシアと西側諸国のより緊密な関係の方が望ましい。ロシアと中国の融和は我々にとって、極めて手強い相手になり得るからだ」

ゴールドマン氏はさらに、西側諸国がロシアを追い詰めることの影響について誤算している可能性があると述べました。そして、ロシアの行動を正当化しないにしても、ロシアと中国のより緊密な同盟は、西側諸国にとって良い結果にならないかもしれないと述べました。

 
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