カナダ 中共元諜報機関職員の移民申請却下

カナダ連邦裁判所は1月19日、移民申請を拒否された中国人二人の上訴を却下しました。理由は、申請者がスパイ活動を行う中共のある組織の元職員だったためだとしています。これによって、二人は今後カナダの永住権の取得ができなくなりました。カナダ裁判所が、中共のスパイ活動に対して公に態度を表明したのは今回が初めてです。

判決によると、この組織は海外の華僑コミュニティを対象に、「秘密工作と情報収集」を行っていたといいます。

問題の組織は、国務院僑務弁公室(OCAO)と呼ばれる組織で、中国共産党の統一戦線部の一部で、中共の影響力を海外に拡大するための機関です。

カナダ連邦裁判所のヴァネッサ・ロチェスター(Vanessa Rochester)判事の判決書によると、中共の国務院僑務弁公室に20年近く務めていた張勇とその妻は、カナダ籍を取得済みの娘の保証のもとでカナダの永住権を申請していました。しかし、張勇が国務院僑務弁公室の元職員であることを理由に、カナダの移民担当者が昨年、二人の移民申請を却下しました。

二人が移民のための審査を申請したのがきっかけで、今回の判決に至りました。

ロチェスター判事は、「移民審査官は、信じるに足りる合理的な理由により、中国(共)国務院僑務弁公室がカナダの国益に反するスパイ活動に従事したと判断した」と判決書に記しています。

統一戦線部は、海外での中共の影響力を拡大するための機関で、中共にとって重要な部門です。

統一戦線部は、中国共産党の影響力を海外で推進するための何千ものグループを調整する役割も担っています。

また、西側の政治家やビジネスリーダーをターゲットにし、中共に有利になるよう揺さぶりをかけたりもします。

元駐北京外交官で、マクドナルド・ローリエ研究所上級研究員のチャールズ・バートン(Charles Burton)氏は、大変嬉しい判決だと述べ、海外当局が中国の謀略機関を白日の下に引きずり出すことはめったにないと指摘しました。

バートン氏はまた、今回の判決が「すばらしい前例」になることを期待すると述べました。

 
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