「2022年はEUの対中関係の転換点」=独外務省

独外務省国務長官(次官級)トビアス・リンドナー氏は最近、2022年はドイツEUの対中政策にとって、転換点になるだろうと述べました。

リンドナー長官は先日、独シンクタンク、メルカトールチャイナスタディ研究所(MERICS、メリックス)で中国関係に関するドイツの視点を語りました。

メリックスは、昨年3月新疆ウイグル自治区でのウイグル人に対する人権侵害を巡り、中国共産党政権の制裁対象となった、2つのシンクタンクの中の一つです。ほか、欧州議会議員5名を含むEU関係者10人とEUの2つの関係組織が制裁対象となりました。中共側の制裁は、EU側による4人の政権当局者への制裁措置を発表したのに対抗した形です。

今年秋に開催される第20回中国共産党全国代表大会(党大会)では、習近平総書記が3期目に突入する見通しです。

リンドナー長官は、中共による制裁は中国とEU及び独との関係に影響を与えるとし、独政府は従来より転換し、新たな包括的な中国戦略を採用するだろうと述べています。

また、習近平政権下では、中共は自身の利益の追求において妥協することはないにしても、中共が経済的圧力によりEU内の小国、例えばリトアニアなどをいじめた場合、EUは中共に対して抗議すると述べました。

独外務省国務長官 トビアス・リンドナー氏
「我々は、国連機関内でも、権威主義的な統治モデルを公然と推進している中国(共)と対峙しており、彼らは自国の政治体制は本質的に民主主義よりも優れていると主張している」

リンドナー長官は、中共は国際社会で独自の規範、規則、基準を形成しようとしているとし、また中国の成功は全て公正な競争に基づいているわけではないとの認識を示しました。

独外務省国務長官 トビアス・リンドナー氏
「全てが不公正な競争の結果というわけではないが、中国企業に有利なルールと慣行が重要な役割を担っているのは明らかだ」

リンドナー長官は、中共と協力するにあたり、中共がEUの価値観と利益に適合しているか否かを確認し、その実情に注目しながら、EUとドイツは戦略的なアプローチを取る必要があると述べ、またEUは中国に影響を与えることができ、世界中の志を同じくするパートナーと協力して対処するべきだとしています。

独外務省国務長官 トビアス・リンドナー氏
「国への補助金に、新しくより厳格な規則が必要だ」

またリンドナー外相は、EUは人権問題などの、中共との体制の根本的な不一致にもっと積極的に対応するだろうと述べています。

独外務省国務長官 トビアス・リンドナー氏
「我々は、中国との関係において体制の相違に注目し、対中政策では価値観と人権をさらに重視する」

リンドナー長官は、中共政権の国際社会での際立つ積極性を考えると、対中政策において全面的な転換は難しいと述べ、しかし体制の相違に対応できないことは長期的に民主主義に多大な損失をもたらす可能性があると警告しています。

 
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