健康コードが人民監視ツールに?理由なくコードが赤色に

ニューヨーク・タイムズは先日、中共が「健康コード」を人民監視ツールとして使用して、人民の監視と管理を強化していると報じました。

感染拡大に伴い、自分の生活に欠かせないものになっていると中国人が自覚したもの、それが健康コードです。どこに行ってもこの健康コードの提示を求められるため、これを提示しなければ建物やレストランに入ることはおろか、公園にも入れません。

健康コードは緑、黄、赤の3つに色分けされており、緑色のコードは「異常なし」を意味し、問題なく入れます。黄色のコードは過去に感染リスクのある場所に行ったことを意味し、「PCR検査を受けて自宅で経過観察」することが求められます。赤色のコードは感染が確定した、または類似の症状があることを意味し、隔離措置や治療などの措置を講じる必要があることを示しています。

しかし、健康コードの適用範囲は感染症対策という目的を大幅に逸脱しているようです。ニューヨーク・タイムズは先日「健康コードが監視ツールに:中国は疫病流行を利用して技術権威主義を実現する」と銘打った記事を掲載しました。ここには、ウイルスの感染拡大が、中共の最高指導者に中共を14億の人民の生活により深く浸透させるための強力な理由を与えたとして、中共当局は人民の追跡と集中管理を一手に行う力を習得したと記されています。

記事ではその例を挙げています。昨年11月に人権派弁護士の謝陽さんが市民記者の張展さんの母親に会いに上海に行こうとしたところ、謝陽さんの健康コードが緑から赤に変わりました。謝陽さんの住む湖南省長沙市(ちょうさし)では感染者は出ておらず、謝陽さん自身も何週間も長沙から出ていません。謝陽さんは自分を上海に行かせないよう、当局が勝手に健康コードの色を変えたと批判しています。

もう一つの例は、福建省福州市の陳情者、林応強さんです。中国共産党第19期中央委員会第6回全体会議(六中全会)の期間中、列車に乗っていましたが、健康コードは黄色に変わり、警察に連行されました。これまでに感染者と濃厚接触した事実はないにもかかわらず、林さんは福州に帰って隔離するよう求められました。

時事評論家の唐靖遠氏
「彼ら(中共)はこれまでも、この種の政権の危機に直面した際は、それが経済的危機であろうが政治的危機であろうがすべて、相応の分野で管理とコントロールを強化している。今回、中共は感染拡大を利用して、民衆の一挙手一投足、あなたの行動の一つ一つ、どこへ行ったか、誰と接触したかといったすべての詳細を、自身の手に把握する力を大々的に強化している」

感染症対策において、中共はいわゆる「網格員」と呼ばれる巡視管理員を450万人も動員しており、成人約250人のうち一人がこの網格員です。グリッドを意味する「網格」とは、都市や村落、地方の小都市をグリッド上の単位に分割したものを指し、各グリッドの大きさはまちまちですが、各グリッドに「網格員」が一人配属されます。疫病流行期間中、これらの「網格員」の権力が大幅に強化されており、彼らは外から入ってくる全ての人の身元を記録しています。

アナリストは、中共がこの感染拡大中に行った極端な防疫対策が、将来的に民衆を監視するために当たり前のように使われるツールに変わるのではないかと指摘しています。

時事評論家の唐靖遠氏
「将来的に感染拡大が食い止められたとしても、これらの措置がなくならない可能性は大いにある。それがずっと存在し続けて、形のない『電子チェーン』に姿を変えて、こうした役割を担うようになり得る」

中共は今後、これらのデジタルツールを使って独裁政権をさらに強化するのでしょうか。時事評論家の唐靖遠氏は、そうなった場合、結果的には中共が民衆のプライバシーをひどく侵害し、民衆の不可逆的な反乱を引き起こす可能性があると指摘しています。

 
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