海外在住の中国人1万人を強制帰国 影響力を拡張

スペインを拠点とする国際人権団体「セーフガード・ディフェンダーズ(Safeguard Defenders)」がまとめた報告書によると、中共は強制的な手段によって、海外在住の中国人を帰国させた上、裁判にかけています。報告書は、中共のこれらの行為は各国の主権および個人の人権に深刻な脅威をもたらしていると指摘しています。

中共当局の公式データによれば、2014年以降、120以上の国から1万人以上を成功裏に帰国させたとしています。しかし、「セーフガード・ディフェンダーズ」が1月18日に発表した報告書では、中共当局が公表した数字は氷山の一角に過ぎないと指摘しています。

報告書では、中共当局は海外からの強制連行を正当化していると指摘し、「国内にいる家族を脅迫する」「海外に出向いて当事者を脅迫する」「本人を海外から強制的に中国へ連行する」などの手口を列挙しています。

中共当局は、経済犯罪や収賄罪を犯した者を摘発していると主張していますが、実際には、海外在住の中共を批判する人や宗教信仰者も標的になっています。

中国問題評論家 横河氏
「中共当局のこれらの行動は、一石二鳥を狙っている。金融犯罪者や反体制派を標的にすることで、海外の中国人コミュニティに恐怖心を植え付けることができる。もう一つ気づかれにくいことがあるが、中共はこの種の方法を通して他国の主権を侵食し、その影響範囲を世界のほとんどの国にまで広げている」

現在、中国と米国の間に身柄引き渡しの合意はありません。一方、中国では中共が司法を支配しているため、国際社会は公正な裁判を受けられないと懸念しています。中共当局が「スカイネット(天網)作戦」を通じて中国への強制帰国に成功した事例のうち、身柄引き渡しなどの法的手続きを行ったケースはほとんどありません。

近年、中共による他国の主権侵害、および個人への人権侵害行為は、国際社会から注目され始めました。

昨年、米国は初めて、中共当局の「キツネ狩り作戦」の関与者9人を「嫌がらせ」「尾行」「脅迫」「スパイ行為強要」などの容疑で起訴しています。

中国問題評論家 横河氏
「政治的判断から声を上げない国もあるが、今の世界情勢の下で変化が現れ、中共に「ノー」と言える国が増えはじめている。したがって、米国に同調して(制裁)措置を取る国も現れるかもしれない。この種のことは暴露されるのを恐れるので、継続的に暴露することができれば、一部の国もプレッシャーを感じ、自国の体面を保つためにも何らかの行動を取る可能性がある」

 
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