中印両軍が会談 国境対立の打開策見出せず

国境地帯を巡り、中印両国の対立は膠着状態が続いています。

最近、中印両軍の司令官級会談が行われました。会談では、国境での軍事的緊張の緩和に焦点を当て、協議が行われました。しかし、過去の会談と同様に、今回の会談も打開策を見出せないまま幕を閉じました。

1月12日、モルド/チュシュル会合地の中国側で実施された軍司令級会談で、インドのマノジ・ムクンド・ナラベーン陸軍参謀本部長が東部ラダック地方の対立を巡る状況に関して、「安定している」との認識を示しました。

しかし、ナラベーン氏は人民解放軍との交渉において断固とした態度で対応し続けると強調しました。

印陸軍参謀本部長 マノジ・ムクンド・ナラベーン氏
「PLA(中国人民解放軍)には、今後も断固とした態度で対応し続ける」

またインド側は、懸念を示している、国境地域における中国側によるインフラ建設についても言及しています。北側の中国側の国境付近で、道路、トンネル、鉄道、橋及び石油貯蔵施設などのインフラ施設の建設が進んでいると指摘しています。

一方、中共外交部の汪文斌報道官は、ナラベーン氏の断固とした態度と発言について「非建設的な発言だ」と批判しました。

中印国境は約3.500kmにも及び、一部は未画定となっています。国境両側には両国の兵士数万人が駐留し、大砲や戦車、戦闘機なども配備されています。近年では、両軍による小規模な軍事衝突に至るケースもあります。

2020年6月には、45年ぶりに双方に死者が発生するに至った軍事衝突が起こりました。インド側は少なくとも20人が死亡したと発表し、中国側は衝突からおよそ8か月後に4人が死亡したと公表しましたが、公表された死傷者数に対して疑問が投げかけられています。

昨年10月に実施された両軍の軍司令官級会談では、中国側が「インドが不合理かつ非現実的な要求を掲げた」と主張し、現在の情勢を難局に陥れたと非難しました。

中印国境紛争は、近隣諸国にも波及しています。

中国の国境問題を巡っては、ブータンとの間でも領有権を巡る係争が生じています。中国は2020年以降、既成事実化を狙い国境沿いでの入植地の建設を急いでいます。米商用電波観測衛星運用企業・ホークアイ360が分析した衛星画像により、6か所の入植地に200棟以上の建造物が建設されていることが明らかになっています。

中国は「ベユル」と呼ばれる地域で入植地の建設を進めており、中共政権は1990年代から、同地域の領有権を交渉のカードにしてきました。中国はベユルの領有権を放棄するという条件の下、ブータンが中国との係争地であるドクラム高原を中国に譲渡するよう要求しています。

ドクラム高原は、地政学的な弱点であるインド北東部・シリグリ回廊を北方に約96キロ進んだ近距離に位置しているため、中国にとっては軍事戦略上で重要な地域となっています。シリグリ回廊は、国防におけるインドの「チキンネック(泣きどころ)」と呼ばれ、インド北東8州とインドの主要地域を結ぶ帯状地域となっています。

中国がドクラム高原を支配することができれば、インドとの軍事的競争において優位に立つ可能性が高くなります。

 
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