軍部と習近平の間で意見の相違か 軍重鎮の劉亞洲が軟禁状態

元中共国防大学政治委員の劉亞洲氏が当局の監視下に置かれていると元中共軍関係者が明かしました。内部の消息筋は、軍内部では台湾進攻について習近平総書記と異なる見解を持っており、このことが劉亞洲氏の軟禁につながったと話しています。

元中共海軍司令部中佐の姚誠氏は取材に対し、劉亞洲氏は現在、拘束されてはいないが軟禁状態に置かれ、当局の監視下に置かれているはずだと明かしました。姚誠氏は劉亞洲は部隊に所属していた年月が長く、軍人はみな彼の教え子であるため、習近平が劉亞洲氏を逮捕したら軍からの反発を招くことからこのような状況に置かれているのだと指摘しています。

劉亞洲氏はかつて18回中共中央委員、国防大学政治委員を歴任したほか、李先念中共元国家主席の娘婿で太子党の一人でもあり、軍内部で強固な地位を築いています。そのため、劉亞洲氏の身辺に何かが起きたとの情報が流れると世論が一斉に注目しました。

劉亞洲氏がなぜ監視下に置かれ、行動を制限されているのかとの疑問に対し、姚誠氏は、事実確認ができていない内部情報だと前置きして、その理由は軍内部が台湾進攻について習近平と異なる見解を持っているからだと説明しています。劉亞洲氏は軍を代表して、この件について一通の書簡を習近平に送ったといいます。

元中共海軍司令部中佐 姚誠氏
「なぜなら軍部において、劉亞洲は輝かしい威信があり、言いにくい話も率直に語る。だから彼に託したのだ。軍事戦略研究部門は、台湾進攻は資金などの投入がかさみ、リスクが高く、勝算が低いと結論付けた。そして評価を総括して導き出された客観的な結論は、今は台湾進攻の条件が整っていないというものだった。この書簡には、もし侵攻したら党や国が亡ぶ可能性もあると記されていた。彼らはやはり、共産党の崩壊を防ぐという目的をもって、台湾を攻撃するな、外国と深刻な対立を起こすなと習近平をいさめたのだ」

中共軍の戦略研究部門は、特に日米協力体制の下では、台湾に侵攻しても勝算はないと判断しました。では、習近平総書記はなぜ今も台湾進攻にこだわるのでしょうか。姚誠氏は、習近平にとって台湾進攻は目的ではなく、彼の目的は三期目続投だと述べています。

姚誠氏
「これは事実だ。彼(習近平)は憲法を改正してでも再任したいのだ。第20回全国代表大会を控えて彼が再任の望みは薄いと感じたら、台湾に手を伸ばすだろう。戦争状態にあれば、第20回全国代表大会の開催を延期したり、開催を取りやめたりすることもできるからだ。もし再任を果たせなかったら、どうなるだろう。彼はこの数年間でたくさんの人から恨みを買っているので、失脚することはできない。手にした権力が失われたら命の保証すらなく、悲惨な結末を迎えることになる。だから彼は、今の地位を死守しなければならないし、権力を手放すことはできないのだ」

2022年1号軍令でも、習近平総書記は「第20回全国人民代表大会を成功裏に開催する」ことを確実にすること、つまり第20回全国人民代表大会での再任を成功させることを主な目標に掲げています。姚誠氏は、習近平は矛盾を抱えているとして、再任のために台湾進攻の条件を整えたいと考えているが、軍部はそれに同意していないことを挙げています。

豪州在住の法律専門家、袁紅冰(えん・こうひょう)氏も、太子党は習近平が台湾海峡における「米中決戦」を進めると中共が崩壊するのではないかと懸念しており、それが習近平の再任に反対する理由だと指摘しています。一方で習近平は今、この「決戦」の準備を積極的に進めているとしています。大紀元時報は先日、中共は今、世界の穀物の半数を備蓄していると報じましたが、袁紅冰氏は、習氏は実際にはすでに中国社会を全面的な臨戦状態にしているほか、穀物備蓄だけでなく大量のエネルギー資源も確保しながら国営企業と民間企業への締め付けを強化し、イデオロギーによる規制も文革時代と同レベルまで強化しているとして、これらはすべて戦争準備だろうと指摘しています。

 
関連記事