新規感染者ゼロも封鎖を継続 西安市民に広まる絶望感

西安市の都市封鎖は20日を超えました。地元当局は、感染は効果的に抑えられていると発表しましたが、封鎖地域に住む市民の食糧が尽きようとしている事実からは目を背けています。

西安市雁塔区長延堡通りに住む蔡さん
「私は昨夜、本当に辛かった。私は新型コロナ(中共ウイルス)にかかっていないのに、なぜ家の扉を塞がれなければならないのか」

1月8日、西安市雁塔区(がんとう-く)の長延堡街道は封鎖エリアに指定されたため、エリア内の居住区196か所が封鎖管理下に置かれ、住民は外出もできなくなり、各戸の扉には封印シールが貼られました。

西安市雁塔区長延堡通りに住む蔡さん
「私たちはてっきり、居住区で新規感染者が増えたのだと思っていた。だが不動産業者は、新規感染者は出ていないので怖がらないでくれと言う。では安全なのになぜ各戸に封印シールを貼る必要があるのか」

今回の封鎖が事前通告なしで行われたことから、蔡さん夫婦は手持ちの食糧を少しずつ食べるしかなく、しかもそれでは2週間しか持たないと言います。

西安市雁塔区長延堡通りに住む蔡さん
「私たちは今一日一食にしている。何を食べるときも、満腹になるまで食べることもできなければ、何かを食べつくこともできない。食べずに済むなら、なるべく食べないようにしています」

蔡さん夫妻は不動産業者に連絡しましたが、「追って通知する」と言われただけでした。別の居住区の住民は感染拡大防止ホットラインに電話を掛けましたが、「追って通知する」との回答しか得られませんでした。

蔡さんが住む居住区では昨年12月19日から封鎖が始まり、すでに20日が経過しました。蔡さんは昨年12月31日に政府からニンジンや白菜などが入った2~3日分の支援物資を初めて受け取ったが、それっきりだと話しています。

西安市雁塔区長延堡通りに住む蔡さん
「陝西省からか国からかは忘れたが、食料の備蓄は必要ないと通知された。だがその後すぐに20日以上も閉じ込められた。私たちは本当に従順だった。結果として、食糧備蓄した人にはやはり先見の明があったのだ」

西安市雁塔区長延堡街道に位置する別の居住区は、感染者ゼロにもかかわらず封鎖対象となっています。

西安市雁塔区長延堡通りの別の居住区に住む徐さん(仮名)
「私たちが住んでいるのは感染者が出ていない唯一の居住区だ。彼らが(入口に紙を)貼りにきたとき、私は彼らに『うちの中には白菜の葉っぱが少し残っているだけだ』と言った。すると彼らは『2~3日の辛抱だ。問題が起きたらコミュニティに連絡しろ』と言った。だから私は『分かった』と答えた。その後コミュニティに電話を掛けたが、一日かけ続けても通じない」

居住区の住民は本当に窮地に立たされていますが、こうした様子を当局は公にしません。

1月10日、西安市当局は「リスクのあるエリアは徐々に減っている。市全体の感染は効果的に制御されている」と発表しました。この4日前の時点で当局はすでに「社会は基本的に感染ゼロを実現した」とも発表しています。しかし封鎖エリアと制御エリアに住む住民に対しては、当局は「もうすこし持ちこたえてほしい」と告げただけでした。

西安市雁塔区長延堡通りに住む蔡さん
「私は最初自分をなぐさめ、それから希望を見いだし、それから再び失望した。そして今度は絶望した」

年を跨いで実施されている西安の都市封鎖中、妊婦が病院の前で流産し、ある患者は治療が遅れて死亡しました。市民の怒りに対し官製メディアは「特殊な事例」だと報じました。また、西安のある看護師はメディアに対し、西安の感染者数の半数はPCR検査の間に感染した人だと発言しましたが、当局はこの話はデマだと一蹴しました。

 
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