中国の新卒者数が過去最高 依然続く就職難【禁聞】

中国の高等教育機関新卒者の数が、毎年過去最高を更新しています。2022年には新卒者数が1000万人を超えるため、中共教育部は「雇用情勢は複雑かつ深刻」であると認めています。複数の専門家が、その背後にある原因と今後の可能性について分析しました。

11月28日、官製メディアの中央電視台(CCTV)は、2022年に中国の高等教育機関を卒業する学生は1076万人に達する見込みで、初めて1000万人を突破すると報じました。2021年と比較して増加した167万人は、それまでの過去9年間の増加人数をすべて足した数に等しいものとなっています。

2020年の中国の高等教育機関新卒者数は900万人近くまで増加していましたが、2021年にはついに900万人を突破しました。一方で、中共ウイルス流行の影響を受け、多くの企業が倒産や撤退に追い込まれており、中国の新卒者を取り巻く雇用情勢は年々厳しさを増しています。

専門家は、就職難は中共による教育の産業化や高等教育の大躍進がもたらした報いだと指摘しています。

元首都師範大学教授 李元華氏
「彼らは高等教育を社会が人材育成を求めている場所に位置付けてはいない。学生を募集して経済を活性化することを目的としている。そのため、中共が教育の産業化を図るようになってから、高等教育機関は盲目的に拡大している。それで高等教育機関の学生の数が膨大になっている」

中共国務院は、1999年6月に大学の募集拡大政策を発表して「社会の力で学校を運営する」ことを奨励しました。そのため、各種民間の短期大学や専門学校、三類本科大学(第三批次本科)が雨後の竹の子のように現れ、中国の高等教育は驚くべきスピードで大衆化段階に入りました。

2010年に全国の高等教育機関新卒者の数が631万人に達してからは、中国の高等教育機関の新卒者が年々増加し、1年間の雇用ニーズが全国で新たに創出された雇用の半分以上を占めるようになり、2018年の新卒者の数は820万人に達しました。

中国の大学教員 劉さん
「高等教育機関が大規模な学生募集を打ち出したことでIQの低い学生や成績の悪い学生も入ってきた。成績は悪いが実家の太い学生は、就職問題における不平等な競争に追い打ちをかけている。もともと中国は何をするにもコネを使わなければならないところだ。役人や金持ちが来ると青信号にしてあげる。とても露骨だ。つまり、狂ったように新入生を募集したために、多くの社会問題がもたらされたのだ」

こうした状況でも大学は学生の大規模な募集を継続しています。中国新聞週間は、2019年と2020年、高等職業学校や専門学校、修士課程や博士課程の大学院生はいまだに広く募集されているが、2年3年後に彼らが卒業するころには、高等教育を受けた卒業生が増加して、未曽有の新卒者ピークが起きると予測されると報じています。

中国の大学教員 劉さん
「現在の募集規模の増加は驚くべき速さで進んでいる。新入生が多くなれば必然的に就職が難しくなる。近年は大学生の就職難が問題になっているため、多くの学生が修士課程や博士課程を受験している。しかし今は、修士課程や博士課程を修了しても就職が難しいのだ」

米サウスカロライナ大学エイキン校 謝田教授
「不景気になり経済が停滞して、中共も卒業生にホワイトカラーの素晴らしいポストを用意してやることができなくなっている。周知の通り、現在多くの大学卒業生、いい大学を出たたくさんの卒業生が卒業後、地方の小さな公務員の職を得るために辺鄙な田舎に殺到している。彼らはすでに大きな期待を抱いてはいないのだ」

今年10月、あるメディアはチベットの阿里(ガリ)地区郵政管理局の求人に、2万人を超える求職者が殺到したと報じました。

米サウスカロライナ大学エイキン校 謝田教授
「中共は実際のところ、多くの資源を公務員に注いで政府機関を太らせている。政府公務員の給料や福利厚生は非常に手厚いので、公務員という政府の仕事に就きたい人が増えた。しかしこれは、社会や経済にとっていいことは何もない。なぜなら、政府機関の肥大は無駄をはびこらせることに繋がり、新たな価値観を生み出すことはできないからだ」

2022年度の中共公務員筆記試験が11月末から始まり、3万1200人を新たに採用する予定ですが、採用試験に申し込んで書類審査を通過した受験者数が212万3000人に達したため、倍率は68倍となりました。ここでも中国社会の熾烈な就職戦争が浮き彫りになっています。

首都師範大学の元教授の李元華氏は、多くの失業者が社会の不安定要素になる可能性が高いことも中共の恐れている点だとして、だからこそ中共は大学生に地方で起業しろと呼びかけているのだと指摘しています。

経済専門家の謝田教授は、「中共は毛沢東時代のように大学生を農村に追いやって雇用問題を解決しようとしているがそれは無理であり、よって雇用問題は中共の頭痛の種になっているはずだ」と考えています。

 
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