COP26に対抗するフォーラム ネットゼロ政策を疑問視

英国グラスゴーでは、11月12日までの日程で、COP26(第26回気候変更枠組条約締約国会議)が開催されています。今後、気候変動をめぐる異論が封殺されるのではないかという懸念が高まる中、COP26会場のその先では、COP26に対抗するイベントが開催され、アナリストや専門家のグループが国連の気候政策を綿密に検証しました。一方、世界各地ではネットゼロ政策(二酸化炭素を差し引きゼロにする)が始動し、未曾有の規模の投資が発表されています。

英グラスゴーで開催されているCOP26サミットには、世界の指導者たちをはじめ、多くの人が集結しました。一方、米シンクタンクの「ハートランド・インスティテュート(Heartland Institute)」はCOP26に対抗して、米英欧の専門家によるフォーラムを開催しました。専門家たちは更に綿密な検証が必要であるとし、国連の気候政策が実際にどれほど環境に優しいのかを疑問視しています。

ハートランド・インスティテュート所長 ジェームズ・テイラー氏
「私は環境について大きな懸念を抱いている。だからこそ二酸化炭素(CO2)排出規制に反対しているのだ。彼らが提唱している解決策は風力発電と太陽光発電だが、そのどちらも環境に深刻な悪影響を及ぼす。例えば風力発電だが、ハーバード大学の科学者が行った査読済み研究論文によると、米国の従来の発電を風力で代替するには、国土の3分の1を風力タービンでカバーしなければならないことが判明している。さらに電気自動車を義務付けるならば、国土の半分を風力タービンで覆い尽くさなければならない。そうなると、野生動物や生態系、美しい自然の景観など、皆が大切にしている環境のあらゆる要素に壊滅的な影響を与えることになる」

ソーラーパネルが本当に環境に良いかどうかについては、研究者の間でも見解が分かれています。

英国のクリストファー・モンクトン卿の見解によると、国連会議でのネットゼロ解決策は実際には「ネットプラス」に他ならないと言います。

第3代ブレンチリーのモンクトン子爵 クリストファー・モンクトン卿
「しかし、大気中の二酸化炭素(CO2)の量を減らすことが目的であれば、風力発電や太陽光発電は最適な方法ではない。太陽光発電の場合、ポリシリコンを焼成するのに6000℃もの高温を要するため、ソーラーパネルを作る際に大量のエネルギーを消費するわけだ。ソーラーパネルの製造に必要とされた同じ量のエネルギーを、ソーラーパネルの耐用期間中に生産することはできないという更なる難点がある。つまり、全てのソーラーパネルは、大気中の二酸化炭素を実質増加させることになるのだ」

地球の気温変化が実際にどの程度人間に起因するのかについても見解が分かれています。

フォーラムでは2日間にわたり、国連サミットで発表された「警鐘」なるものに対抗するデータと科学が示されました。

フォーラムの専門家たちは、気候変動政策についてオープンな科学的議論が行われていないことを懸念しています。

「ネットゼロウォッチ」の政策責任者 ハリー・ウィルキンソン氏
「どのような政策課題であっても、それに疑問を呈し、難しい質問を提起する人々の存在が常に必要だ。しかし、現在のCOP本会議では集団思考による勢いが強く、突っ込んだ質問をすることができない。だからこそ、私たちはこの『気候の真実フォーラム』を開いて議論しているのだ」

ソーラーパネルの製造過程における人権問題も指摘されています。

ウェブサイトClimate Depot .com創設者兼編集長 マーク・モラノ氏
「中国(共)は基本的にコンゴ産のコバルトをほぼ独占している。アムネスティ・インターナショナルのような団体が児童労働の疑惑を指摘している。さらに中国では、ソーラーパネルの製造にイスラム系ウイグル人の奴隷労働が利用されている。バイデン政権は、中国(共)が気候アジェンダに署名さえすれば、人権侵害を完全に見逃しても構わないのだ。つまり、気候変動問題を解決するというユートピアのビジョンのために、敵対的な政権、酷い人権記録や環境基準を持つ国からのエネルギーの供給を喜んで受けようとしているのが実状だ」

未来創造委員会(CFACT)のクレイグ・ラッカー氏は、ネットゼロへの切り替えに伴う経済的コストが有権者の不評を買う可能性があると述べています。

CFACT理事長 クレイグ・ラッカー氏
「高等教育を受けたエリート層や政府関係者の間では、分断が生じていると思う。米国で既に起きている二分化と同じ現象だ。インテリ層には多くの支持者がいる。一方、草の根の人々、配管工、労働者、大工など、虐げられてCOP26に来ることのない大衆の多くはもう見抜いていると思う。彼らは光熱費をつり上げるような国を支持しない。12年後には皆死んでしまうというナンセンスな気候警報も信じていないと思う」

英国議会では最近、議員がネットゼロ精査チームを立ち上げ、ボリス・ジョンソン首相は政治的な挑戦に直面する可能性があります。

〈字幕版〉

 
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