民間企業の次は金融 中共が金融機関と民間企業の緊密性を調査【禁聞】

今年に入り、中共当局は民間企業とビッグテックに立て続けに手を伸ばしており、現在、すでに金融業界を新たな目標に定めて25もの金融機関を調査中と言われています。評論家は、今回の調査は中共の内部闘争に関係しており、金融業界の腐敗問題も深刻化していると考えています。

「中国の金融を資本家に開放することは絶対にできない。この話は20年経っても有効だ。信じられないなら賭けてもいい。『党』がありさえすれば、この話はどれだけでも続けられる」

フードデリバリーの美団(Meituan、メイトゥアン)に調査が入り、ビッグテックのテンセントは罠にかかり、ECプラットフォームの拼多多(ピンドゥオドゥオ)は事情聴取を受け、アリババのジャック・マーですらもすっかり鳴りを潜めています。しかし中国民間企業を揺るがした「大地震」がもうすぐ収束すると考えるのは時期尚早です。一連のことは実は始まりに過ぎないのです。

10月11日、ウォール・ストリート・ジャーナルは関係者の話として、中共当局は現在すでに、国有銀行や大型民間企業と関係のある金融機関の調査にターゲットを変更したと報じています。

当局は国有銀行や投資基金、金融監督機関と民間企業、特にここ数か月の間に中共から厳しい取り締まりを受けた企業との距離が近すぎていないかどうかを重点的に審査すると報じられています。

たとえば、巨額の負債を抱える不動産開発大手の恒大集団やオンライン配車サービスの滴滴出行(ディディチューシン)のほか、金融ハイテク企業のアントグループなどの名前が挙がっています。

米サウスカロライナ大学エイキン校 謝田教授
「これは明らかに中共の内部闘争に関係している。政治内部闘争に用いられる手段の一つだ。一夜にして中国のこれらの銀行や保険、各種金融機関に同時に問題が生じてさらに中央規律検査委員会が厳重調査を行うだけの理由があるなんて、あなたは想像しがたいだろう。習近平が第二十回全国人民代表大会で再任を果たす前に、自身を支持しないその他の勢力を一掃しようと考えているのは明らかだ」

今回の審査は中共中央規律検査委員会が主導したものであり、重点目標は25の金融機関に定められているとも報じられています。

時事評論家の李林一氏
「審査対象となったこれらのグループの背後には権力者の影がある。その一部は江沢民だったり別の派閥だったりするが、どのみちどの背後にも誰かがいる。習近平にとって、金融部門の調査は実際には(敵対する)権力者と金融市場との関係を断つためのものだ」

関係者は、中央規律検査委員会は現在、これらの機関の貸付や投資、申請記録などを調査していると明かしています。民間企業とのやり取りで不正な証拠が見つかった場合、正式な調査が行われて起訴される可能性もあります。

「戦争時代は『党』が銃を指揮し、平和な時代は『党』が金融を指揮する。分かったか?」

李林一氏
「彼(習近平)が(敵対する)権力者を取り締まるのは、その重要な経済的命綱や権利をすべて回収するためだ。なぜなら、中国経済と権力者は切っても切れない関係にあるからだ。例えば、江沢民ファミリーは電気通信、曽慶紅ファミリーは石油、周永康ファミリーも石油だ。こうした権力者に対する取り締まりによって、実際には彼らをこれらの分野から追い出したりその利益を減らしたりすることができる」

台湾のマクロ経済研究者呉嘉隆(ご・かりゅう)氏は、この件は中共の内部闘争に関係しているだけでないと考えています。

呉嘉隆氏
「中国には現在、デフォルトという巨大な圧力が存在する。地方政府の債務、国営企業の債務といった債務危機から、外資の撤退、対外債務の償還に至るまで、金融問題は相当深刻だ」

実際のところ、9月の時点ですでに中共政府は、中央第8回視察では中国人民銀行、銀行保険監督管理委員会、証券監督管理委員会、外国為替管理局など25の金融機関を調査すると通達していました。

謝田教授
「現在は中央規律委員会を使って、彼の政敵ににらみを利かせることによって恐怖心を煽っている。一部の人は失脚して、彼らの(企業の)支配権や財産権、特定の役職にある責任者が入れ替わるだろうし、彼らが退陣したり投獄されたりする場合もあるだろう。こうなることは予測できる」

先月、中共の中央巡視チームのリーダー、趙楽際は、今回の巡視は25の金融機関にいわゆる「政治的偏り」があるかどうかを深く掘り下げるとして、その目的はいわゆる「金融腐敗」の処罰と「金融リスクの防止とコントロール」だと述べています。

呉嘉隆氏
「金融機関を放火して燃やすことは当然ながら不可能だ。しかし、内部の巨額の金や外国為替は、不正な利益移転が行われ、すでになくなっている可能性がある。もし調査が入ったら面倒なことになる。でも、銀行を放火して燃やすわけにはいかないだろう?だから現在の問題は帳簿を調査されることだ」

呉嘉隆氏は、中共当局のやり方はその場しのぎにすぎないとして、中国の金融不安は高まりつつあり、金融システムの巡視が終わってから経済状況がさらに緊迫する可能性があると指摘しています。

 
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