香港大学 天安門事件追悼像に撤去命令 民主派への弾圧強まる

香港大学にある1989年6月4日に発生した天安門事件での犠牲者への追悼を示す彫像に対して、最近大学側から撤去命令が下されました。彫像の制作を手掛けたデンマーク人の彫刻家は、大学側の措置はその像を廃棄することが真の目的であると考えています。大学側の撤去命令は、香港の民主主義を擁護する団体に対する中国共産党政権による圧力強化の流れを受けたものと見られます。

彫像は「国恥の柱」と命名され、1989年の天安門事件での犠牲者を追悼するため、24年前から香港大学の構内に設置されています。

香港大学は、今月13日午後5時までに撤去するよう要求していましたが、撤去が命じられてから期限まで1週間も満たしていません。彫像の制作者は、数日で撤去することは不可能だと述べています。

「国恥の柱」を制作したデンマーク人彫刻家 イェンス・ガルシュット氏
「彼らは彫像を廃棄すると思います。それが彼らの目的だ。彼らが極端に短い撤去期限を提示しのは、『誰も取りに来ないなら、我々は取り壊すぞ』と廃棄のための口実に他ならない」

彫像は、制作を手掛けたイェンス・ガルシュット氏が民主派団体「香港市民愛国民主運動支援連合会(支連会)」に貸し出していたもので、1997年6月4日の追悼集会で展示され、その後、香港大学の構内に設置されました。同団体は、香港で毎年行われている天安門事件の追悼イベントを主催してきました。

中国共産党は天安門事件での虐殺を葬りたい狙いがあるものと見られます。

先月初旬には、香港警察が同団体の幹部ら5人を逮捕したため、活動が困難となり、同団体は解散に追い込まれました。

「国恥の柱」を制作したデンマーク人彫刻家 イェンス・ガルシュット氏
「当然、これは問題視しています。この団体が解散し、学生がいなくなり、何もできなくなると、私が何をしてあげられるのか本当にわかりません」

香港大学は、撤去の理由を明らかにしていませんが、「問題の展示物は、解散を宣言している外部組織のものである」との声明を発表しています。

ガルシュット氏は、今回の撤去命令は天安門事件を香港市民の記憶の中から抹消しようとするものだと述べています。

ガルシュット氏はまた、彫像は非常に高価で、現在所有権はガルシュット氏にあるため、もし破壊または破損している部分が見られたら、弁護士に連絡するとしています。

 
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