中国で続く電力制限 中共が豪州の石炭輸送船から荷下ろしを開始【禁聞】

中国各地で頻発している電力制限によって、多くの企業がダメージを受けています。石炭不足問題を解決するために、浙江省は先日、初めてカザフスタンから石炭を調達しました。また、中国は密かに豪州産石炭の輸送船からの荷下ろしを許可し、中国銀行保険監督管理委員会は石炭発電企業の融資ニーズを保障するよう通達しました。

発電用石炭のひっ迫を緩和するため、カザフスタンから初めて輸入された石炭が10月4日に浙江省に到着しました。

13.6万トンもの上質のカザフスタン産石炭は、浙江省最大の石炭買い付け企業である富興燃料公司(浙江省能源集団傘下)が調達したものです。この会社は今年の6月と7月にも米国産の一般炭を初めて調達しました。

中国は以前、主に豪州から石炭を調達していましたが、昨年末に豪州産石炭の輸入を禁止し、現時点ではまだこの措置が解除されていません。

しかし、フィナンシャル・タイムズの報道によると、ある船舶関連会社のアナリストが、中国はすでに小口の豪州産石炭の荷下ろしを始めており、このことは中国の電力不足がかなり深刻化していることを際立たせていると指摘しました。

時事評論家の李林一氏
「豪州と貿易戦争しているために、中共は豪州に儲けさせたくないので、同国の石炭の輸入を止めた。しかし今、この(電力不足)問題を解決したいなら、必死になって外国から石炭を買うしかないのだ。だから豪州産の石炭にラベルを貼り替えてベトナム産に見せかけ、バングラディシュ産に見せかけて、それから中国へと運んでくる。冗談みたいな話だ」

スイス最大の銀行のUBSは最新の報告書の中で、電力制限によって中国の第4四半期の経済成長率が0.3〜0.5ポイント下がるだろうと指摘しています。

時事評論家の李林一氏は、経済成長は中共政権の合法性の問題に関わるため、中共はエネルギーの二重規制政策を緩和せざるを得ないだろうと指摘しています。

李林一氏
「最近流れている噂だが、(国務院常務副総理の)韓正はどんな代償を支払ってでも電力供給を強化する必要があると話したそうだ。国有資産監督管理委員会主任の郝鵬も多くの指示を出している。今、一部の石炭企業はすでに限度枠を気にしてはいられなくなっている。もともとは企業に対し、生産限度枠を設けていたが、今はこの限度枠を超えても生産できるのだ」

台湾の経済専門家、黄世聡氏は、毎年冬場は電力消費量が増える季節なので、この苦境に直面した中共はエネルギー二重規制目標を諦めるしかないと指摘しています。

台湾の経済専門家 黄世聡氏
「電力供給の安定化の確保は、すでに中国の最重要目標になっている。ここまで来ると、今までの努力が全て無駄になったように感じているだろう」

中共の銀行保険監督管理委員会は10月5日、石炭発電や鉄鋼をはじめとする各企業の合理的な融資ニーズを保障し、キャンペーン型のCO2(二酸化炭素)排出削減と信用貸し付けの安易な打ち切りを防止するよう通達しました。

李林一氏は、中国の今回の大規模電力不足は主に政策によって引き起こされたものだと考えています。中国の石炭価格は市場の供給量によって上下しているのに、電力価格は政府が管理しているためです。

李林一氏
「石炭価格が上がっても、電力価格は上げさせてもらえない。するとこの石炭価格と電力価格に逆ザヤが起こる。これが最近起きている『発電すればするほど損をする』という怪現象だ」

黄世聡氏は「石炭と天然ガスの国際価格が高止まりしているため、中国の電力会社の経営を大きく圧迫している。この構造的な問題によって、発電所の発電意欲と発電量が以前よりも下がっている」と述べています。

報道によると、中国東北部の多くの電力会社の負債比率は非常に高くなっており、一部は債務超過に陥っています。

また、中共が内モンゴルや山西省などの石炭関係分野で行った反腐敗キャンペーンが、石炭の生産量減少の大きな要因と考えられており、特に公式統計範囲に含まれていない違法に採掘されている石炭の生産量の減少に繋がっています。

李林一氏
「これらの帳簿に記入されない炭鉱がすべて消えてしまった。しかも、例えば山西省で違法に採掘された石炭を、山西省の外に運び出すのはもうできなくなっている。各省に割り当てが設けられたからだ」

黄世聡氏
「名目的には一部のエネルギー消費量が多く、発電能力が劣る旧型の電力が淘汰されたが、新たな電力会社ではそれを補うことができないので、電力不足がゆっくりと拡大している」

ブルームバーグ・ニュースは、中国の電力の2/3以上は石炭火力発電所で、燃料の9割が現地で採掘されているとはいえ、現地生産量を短期間で増やすのは難しいと報じています。

李林一氏は、電力制限の一件は、複数の分野における中共の弊害、つまり「締め付けを行うと死んでしまい、緩めるととめちゃくちゃになる」という特徴が見て取れると指摘しています。

李林一氏
「当局がいきなりこのエネルギー消費二重規制(という政策)を打ち出したところ、あっという間にすべての地方がダメになった。電力も追いつかず、石炭も追いつかない。これがつまり「締め付けを行うと死んでしまう」ということだ。「緩めるとめちゃくちゃになる」とは、どういうことなのか。当局がこの件から手を引いた時に、各地の炭鉱が必死で頑張っているのを見ると分かることだが、環境全体が見る影もなく台無しにされ、めちゃくちゃにされる」

9月下旬、中国東北部では予告なしで電力供給制限が行われ、住民の怒りが沸き起こりました。

吉林省を含む各省は最近になって次々と、インドネシア、ロシア、モンゴルからの石炭輸入を要求しています。

 
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