市場が恒大発中国版リーマンショックを懸念【禁聞】

中国不動産大手「中国恒大集団」の債務危機が国際社会から注視される中、国際信用格付け機関が恒大集団を2度格下げしました。市場はリーマンショックの中国版ともいえる債務不履行が発生するのではないかと懸念しています。

中国不動産開発大手の恒大集団の債務危機が国際社会の焦点となっています。

ロイターは、恒大集団は中国の「トランプのカードで組んで立てた家」のようなもので、同社の危機は中国の不動産市場に直接影響を及ぼすと報じています。

香港マッコーリー証券中国経済部門のラリー・フー(胡偉俊、Larry Hu)氏はロイターに対し、「中国不動産部門は今圧力を受けており、一部のディベロッパーは破産のリスクに直面している。債券市場はその現実を反映しており、今後数か月の間に我々はより多くのディベロッパーの破産を目にするだろう」と答えています。

ブルームバーグのコラムは「恒大集団はサプライヤーへの支払いでさえおぼつかないため、債務再編はほぼ避けられない。恒大の『秩序ある再編成』に期待を寄せる一部の人は、最終的には、失望しながら手ぶらで帰ることになるだろう」と分析しています。

CNNは、こうした状況が発生したら、中国の銀行システムとより広範な経済がすべて影響を被ることになると報じています。

香港駐在の金融アナリスト 蒋天明氏
「中国の不動産市場という分野は、不動産という一つの業界というだけでなく、鉄鋼やガラス製造、機械設備といったその上流産業に影響を与え、同様に家電産業にも影響を与える。なぜなら庶民が住宅を購入したら、そこに住む際にたくさんの家電を購入するからだ。よってこの不動産業界の上流と下流には、それによって影響を被る産業が非常に幅広く存在する。中共はこの市場を安定させるための大きな力を持っているはずだが、問題は、市場を安定させるための力がどれほどあるかということだ」

香港駐在の金融アナリスト、蒋天明氏は、現時点では恒大集団一社の債務危機のように見えるが、その影響は市場の全体的な雰囲気に影響すると述べています。

蒋天明氏
「今回の件により、中国企業に対する市場全体の信頼性、あるいは不動産企業に対する信頼性が損なわれた。つまり、他の不動産関連企業において、もしかしたら彼ら自身の状況はまだよくても、業界全体に対する市場の信頼感が失われてしまったら、企業のリファイナンス能力が大きな影響を受け、市場からの資金調達が難しくなる。市場での資金調達がひとたび影響を受けたら、一部の企業はキャッシュフローが途絶える可能性が生じる」

1996年に許家印氏が広州で恒大集団を設立したとき、中国はいわゆる投資活動が経済を牽引していた時期にあり、その不動産ブームによって恒大集団は中国の各大都市で急速な発展を遂げました。その後、許家印氏はサッカーチームを買収し、2008年には傘下の子会社を通じて合併や吸収を行い、新エネルギー自動車事業にも着手しました。また、金融分野では「恒大金融財富」のほかに、保険業界にも進出しています。

しかし2008年8月20日、中共当局が不動産融資に対する「三つのレッドライン」を策定してから、資産負債率が70%を上回る企業が融資を得られなくなったことで、恒大集団は資産の売却を開始しました。

大紀元コラムニストで作家の王赫氏
「中共は昨年から、不動産企業に対し『三つのレッドライン』を導入した。すると恒大集団が三つのレッドラインを全部踏んだ。この三つのレッドラインが導入されたことで、このような大手投資企業もこの債務の落とし穴に落ちてしまったのだ。これは中共のいう『住宅は住むためのものであって、投機用ではない』ということを示すためのものだ。なぜなら、恒大集団は民間企業であり、その背後には多くの政治勢力が存在しているため、中共は恒大集団を懲らしめることによって市場に対し『君たちを助けるつもりはない。今後はそんな幻想を抱いてはならない』と脅しているのだ」

8月31日に発表された2021年上半期の恒大集団の財務報告によって、負債総額が1億9667万元(約33億4400万円)にのぼったことが分かりました。

王赫氏
「恒大集団はその成長の過程で、急速に成長させるために急速な負債を抱え、しかも多くの業務を開拓した。しかし、それらの業務拡大は基本的にはどれも成功しておらず、大量の資源を消費した。これは恒大集団が自社の発展プロセスで直面した発展の落とし穴で、自分でも把握しきれていなかった。恒大集団のこの種の拡張的な発展自体が、現在の債務危機の隠れたリスクをもたらした」

大紀元コラムニストで作家の王赫(おう・かく)氏は、中共当局が恒大集団を助けるかどうかについて、多くの人が注視していると考えています。

王赫氏
「中共当局は長い間、不動産業界をGDP成長のための効果的な手段に位置付けていた。だが、これが非常にひどい結果を招くことになった。つまり、不動産企業自体の債務が増え、しかも住民や地方政府、銀行などがどれも不動産に殺到したため、非常に大きな問題が形成された」

恒大集団は9月14日、香港証券取引所に対し、恒大集団の不動産販売実績が3か月連続で悪化したことを示す公告を提出しました。傘下の2社では資産の一部売却が検討されており、金融コンサルタントに解決策を探らせているものの、楽観視はできない状況です。

 
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