中国エンタメ業界に「国籍制限令」 ニコラス・ツェーがカナダ国籍放棄

中共の刃がエンタメ業界に向けられ、外国籍を持つ一部の芸能人がこのほど、自身の立場について釈明ともとれる発言を次々と始めました。この件で中国のエンタメ業界が世界と切り離されてしまったら、より深い痛手を負うのは誰なのでしょうか。

中共当局はこのほど、エンタメ業界の是正に着手しました。これについて、外国籍を持っている中国人芸能人から、次の制裁の対象になるのではないかとの声が上がっています。

これと同時に、米国籍のリウ・イーフェイ(劉亦菲)、カナダ国籍のニコラス・ツェー(謝霆鋒)、米国籍のウィルバー・パン(潘瑋柏)、米国籍のワン・リーホン(王力宏)、カナダ国籍のマーク・チャオ(趙又廷)、シンガポール国籍のジェット・リー(李連杰)、英国籍のチャン・ティエリン(張鉄林)の7人の名前が掲載された「国籍制限令」対象者リストがインターネットに流出しました。

この情報の真偽はまだ明らかになっていません。ワン・リーホンの所属事務所はこの噂を否定し、いわゆる「国籍制限令」はフェイクニュースだと述べています。また、リストアップされた芸能人のインターネット上の番組や情報も削除されていません。

しかしながら、国籍制限令リストに載った香港出身のニコラス・ツェーは9月5日、中央電視台の番組『藍羽会客室(藍羽の応接間)』で、自分はすでにカナダ国籍の放棄を申請したと発言しました。

ニコラス・ツェー
「実際のところ私が生まれたのは香港ですから、私はもともと中国人なんです」「実は私はもう、カナダ国籍の放棄を申請しました」

ニコラス・ツェーの立場表明は、「国籍制限令」にいくらか信憑性を与えた形になりました。

先日、中国の人気俳優で歌手のルハン(鹿晗)が、スイスの高級時計メーカー、オーデマ・ピゲの公式発表が「一つの中国」の原則に反していたとして、同社との契約を打ち切りました。同社の代表は先日、台湾を「国家」と発言しました。

また米国のコメディアンで映画プロデューサーのアダム・サンドラ―は先日、自身が出演した映画「Hustle(原題)」の制作の際、ストリーミングメディアのネットフリックスから圧力をかけられ、映画の舞台を中国からスペインに変更したと明かしました。ネットフリックスは中国で業務展開していないからです。

ニコラス・ツェーのカナダ国籍返上や、ルハンとオーデマ・ピゲとの契約終了、米国人映画プロデューサーによる映画舞台の変更を見ると、中国のエンタメ業界が米国をはじめとする各国と切り離されてゆく傾向も見られます。

米国営放送のボイス・オブ・アメリカは、米国と中国のエンタメ業界はどちらも圧力にさらされているが、中国人スターの圧力は政府からで、米国のそれは市場からだと指摘しています。

それでは今後、米中両国のエンタメ業界が再び手を取り合うことはないのか。最終的に痛手を負うのはどちらなのか。

業界関係者は、米国の映画制作会社にとって、この状況はさほど悪くはないと指摘しています。当然ながら興行収入が振るわず、中国市場で利益を出したいと考えている映画会社も存在しますが、中国は輸入映画の公開枠を年間30本余りしか設けていないため、米国映画が中国市場に参入できる数は非常に限られています。また中共は2014年からテレビドラマについても管理を強めているため、中国のストリーミングメディアは海外ドラマを自由に放送できなくなっています。

さらに、一部の米国映画関係者は中共の検閲要求を拒否しています。例えば「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」を撮影したクエンティン・タランティーノ監督を始め、自分の映画が中国市場で売れる必要はないと信じている映画関係者もいます。

また中国映画業界はハリウッドを必要としています。中国は米国のエンタメ企業の技術や人材を、自身のプラットフォーム構築に必要としているためです。マーベルや米国映画「ワイルド・スピード」、ディズニーといったシリーズ物の映画も、中国市場が依存し続けてきた輸入映画の一部です。

米中両国のエンタメ業界は相互依存の関係にありますが、両者の関係が今後離れていくのか、それによりどんな影響が生じるのか、今後も注視する必要があります。

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