復旧作業で疲弊する鄭州市民「自力で何とかするしかない」

水害に見舞われた河南省鄭州市では町の復旧作業が始まりましたが、洪水によって鄭州駅の周辺では地盤が陥没し、多くの商店が深刻な被害を受けています。ゴミが散乱し悪臭が鼻を突く中で行われれる、壊滅的なダメージを受けた町の復旧は困難を極めています。

河南省鄭州市京広路トンネル
「機械の作業は3日間続いた。トンネルの天井付近には水草や木の枝などが引っかかっている」「構内にはかなりの泥が堆積している」

7月30日夕方に京広路トンネルと紅専路トンネルが通行可能となりましたが、全面開通には至らず、片側一車線ずつしか通行できません。

鄭州駅西広場も20日に浸水しました。29日にあるネットユーザーが投稿した動画には、水は引いていたものの駅周辺の地盤が陥没している様子が撮影されています。

動画
「私は今、鄭州駅の大観国貿ビルの下にいる。今、駅全体に非常線が張られている。道路は基本的に通行止めだ。至る所に深い陥没穴ができているのが見えるだろう。見てほしい。ここは元々花壇だったが、今、1メートルほど陥没している。今でも駅の下の方は水が溜まっている。駅の下が空洞になっているので、水抜きが全然終わっていない。このような陥没は駅のあちこちで発生している。だからその辺りを通るときには注意してほしい」

鄭州駅周辺の商業地域一帯も浸水し、ある経営者はダウンジャケット1万5000着が水浸しとなり、450万元(約7600万円)の損失を被りました。また別の店でもすべての商品が水没してダウンジャケット1000着以上が水浸しとなり、損失額は60~70万元(約1100万円)に上りました。同様の被害に遭ったアパレル小売店は約300店で、経営者らは市場管理部門がこの損失を賠償してくれるのか、どうやって賠償してくれるのかを懸念しています。

鄭州市内の道路も見るに堪えない状態に陥っています。

動画
「両側の柵に干してあるのは全部布団だ。水に浸かった布団だ。今私は、鄭州大学医学院南側の建新街に来ている。ゴミが山積みになって悪臭を放っている。建新街は医学院から近いので、以前は人でごった返していた。今ここを歩く人はいない。屋台街も被害が特に深刻だ」

洪水によって、鄭州市民の生活に一時停止ボタンが押されましたが、元通りの生活に戻るためには自力で何とかしなければならないのだと気づいています。

鄭州市民の薛さん
「もうずいぶん経つのに、誰も私たちを助けてくれない。完全に自力でやるしかない。ずいぶん経つのに、居住区から昨夜支給されたのは水4本だった。たった水4本だ。彼らは住民がどんな生活を送っているのか考えたこともないのだ。公安局の家族の住む居住区でもこんなに大変なのだから、他の居住区はいったいどうなっているのだろうか」

鄭州市金水区沙口路の居住区「豫森城」は、工事が一時中断されていることで知られていますが、他に行き場のない多くの購入者が近くのプレハブに住んでいます。豫森城の状況は、水害後は以前にも増して悪くなっているといいます。

居住区「豫森城」の物件購入者
「水害が発生して、中も水に浸かった。他の居住区には店もあり、他のものもあるが、ここは何もない。20日に水が入り始め27日、28日まで約1週間続いた。内部の水はまだ引いていない。地盤沈下が起きてしまった。私たちが恐れているのは、水に浸かっている時間が長くなって基礎が壊れてしまったら、20〜30階建ての110メートル高さの建物が倒壊して死傷者を出す恐れがあることだ。そうなったらもっと大変なことになる」

水害後の生活は徐々に回復しており、数日前に薛さんの居住区は時間制限付きで電気と水道が復旧しました。一部の人は党や政府に対する感謝を述べていますが、薛さんはそんな嘘はつきたくないと話しています。薛さんは水害の生存者として、最初に感謝すべきは自分自身だ、なぜなら自分が生き延びる方法を考え付かなければ、家族や子供を守ることはできないからだといい、その次に感謝しているのは、こんなに長い間何もしないでいる党や政府の関係者ではなく、ボランティアや民間救助チームの人たちだと語っています。

鄭州市で現在復旧が急がれているのは病院や通信などの公共サービスです。医療施設の受けたダメージ、ゴミ処理や生活用水の問題はすべて災害後に疫病が蔓延するリスクを高めています。

7月30日、鄭州市二十七区の定期検査で無症状感染者1人が見つかりました。31日には鄭州市共産党委員会書記が疫病感染拡大防止作業緊急会議を開催し、その後感染が疑われる複数のケースが見つかったと指摘しました。鄭州市第六人民医院はその日のうちに閉鎖管理を行って、鄭州市民全員を対象とする核酸検査を開始しました。

 
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