中国の「愛国青年」 台湾独立支持のユーチューバーを通報するも・・

北京のある男性が地元の派出所に、台湾独立を支持する台湾人ユーチューバーを通報しました。しかし、この男性はかえって、海外のサイトに違法にアクセスしたとして、警察から罰金を科されました。

北京在住のある男性が、台湾人ユーチューバーを警察に通報したところ、かえって罰金を科されました。

この男性は、ネット上で中国共産党を支持するいわゆる「小粉紅」で、長期にわたってYoutubeに台湾政府を攻撃する動画を投稿していました。

ある日、男性はある台湾人ユーチューバーが「台湾独立」傾向のある動画を投稿しているのを発見しました。男性は、台湾人ユーチューバーを警察に通報することに決め、ついでにその様子をライブ放送し、アクセス数を稼ごうとしました。

しかし、違法に海外の動画投稿サイトにアクセスしたとして、かえって警察から3000元(約5万円)の罰金を科されました。

中国では、Twitter、Facebook、YouTubeなど、多くのソーシャルメディアプラットフォームにアクセスできません。それらを訪問することは違法とみなされます。

警察による思いもよらぬ措置に、男性は慟哭しました。

男性は怒りのあまり、撮影した動画をネット上に投稿しました。このことは中国のネットユーザーの間で話題となり、ネットユーザーからは「祖国の鉄拳を味わった 」などと嘲られました。

一方で、男性の安全を心配する声もありました。「彼の身の安全を心配している。なぜなら、彼は密かに録音し、ネット封鎖を突破して、それをネット上でアップロードしたからだ」

男性は台湾人ユーチューバーのプロフィールと動画の内容について印刷した資料を片手に、警察署に向かう途中の様子を撮影しました。

動画では、「中国の愛国青年劉思桐」という自己紹介から始まり、自分には偉大な計画があると説明しました。その計画とは、台湾独立を煽ったとして、台湾人ユーチューバー「攝徒日記」を通報することでした。

男性は成果を挙げることを期待しているようでした。

中国の愛国青年劉思桐
「順調にいけば、彼は少なくとも、中華人民共和国には入国出来ない。入国すれば、間違いなく逮捕される。もし彼がこのようにクレイジーで野蛮な行動を取り続ければ、国家安全部が省を股いて逮捕する可能性が高い」

男性は自身の行動を「とても有意義なことである」と述べました。しかし、派出所の受付では撮影を停止するよう命じられました。

警官
「撮影してますか?」

中国の愛国青年劉思桐
「はい!そうです」

警官
「撮影は許可されていません」

中国の愛国青年劉思桐
「ああ、わかった、わかった。やめます」

しかし、男性は警察官との面会の様子を録音し続けていました。

男性は台湾人ユーチューバーへの怒りを訴えましたが、警官は男性がどのようにして同ユーチューバーの動画を見たのかという点に話題を移しました。

警官
「プロキシサーバーを使うこと(ファイアウォールの回避)自体が違法です。ご存知なかったですか」

中国の愛国青年劉思桐
「知っています・・・知っています・・・しかし今は・・・私は・・・」

警官
「何のために?」

中国の愛国青年劉思桐
「母国のため、本土のため・・・だから・・・」

警官
「動機がOKなら、用いた方法もOKだと思っているのですか?」

中国の愛国青年劉思桐
「いえ、間違っていました。すみません」

男性は警察から叱責を受けた後、供述調書を書かされたうえ、3千元(約5万円)の罰金を科されました。

 
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