ゲイツ財団資金提供の遺伝子組み換え蚊が米国でリリース

ビル&メリンダ・ゲイツ財団から資金提供を受けている英国のバイオテクノロジー企業、オクシテックが4月下旬に、フロリダキーズの6か所に遺伝子組み換え蚊数万匹を放ちました。この企業はこれについて、デング熱や黄熱(おうねつ)、ジカ熱など蚊が媒介する伝染病を撲滅するための実験の一環と発表しています。

この実験はフロリダキース・モスキート・コントロール・ディストリクト(FKMCD)と合同で進められており、米国環境保護庁(EPA)、米国疾病予防管理センター(CDC)及び関連機関の承認を受けています。

デング熱、黄熱、ジカ熱をはじめ、人間や動物にとって致命的となる多くの伝染病が蚊を媒介としています。

オスの蚊は人を刺さず、伝染病を媒介するのはメスの蚊だけという特性を利用して、一部の研究者によって遺伝子操作されたオスの蚊が環境に放たれ、それらが遺伝子組み換えされたメスの蚊と交配することで、致死的遺伝子が次世代に伝わることになります。理論的には、その後に生まれる蚊は成虫になる前に死亡するため、蚊の個体数が抑制されることになります。

フロリダキース・モスキート・コントロール・ディストリクトのバリー・レイ(Barry Wray)主任は、このプロジェクトに10年前から関わってきました。レイ主任は、このプロジェクトのプロセスが政治的に汚染され、技術研究の基準が下がったと確信しています。現在、遺伝子組み換え後の世代のなかの、メスに該当しない蚊の数を示すデータが存在していないからです。

フロリダキース・モスキート・コントロール・ディストリクトのバリー・レイ主任
「我々は残念ながら少なくとも、我々は遺伝子組み換え生物を恐れながら生きてはいないが、悪い科学を恐れながら生きているのだと言わざるを得ない」

「私は彼らに、簡単な数学の標準的質問を出して、あなた方の公式を見せてくれといった。統計学的に有意な卵のサンプル数のうち、メスが生まれない卵がどれだけあるかを測定したのかと。彼らはそのデータを持っていなかった」

バリー・レイ主任は、すでにかなりの数の遺伝子組み換え蚊が野生に放たれており、回収は不可能なため、どのような結果になるかが憂慮されていると述べました。

フロリダキース・環境連合のバリー・レイ主任
「オフターゲット変異は、系統発生学的ゲノムを改変すると同時に発生して、次世代に遺伝する。このことが憂慮されている。なぜならその『進化』が歪み始めて新たな特徴が出現するからだ。我々はまだ研究していないし、長期的な研究も存在しない」

オクシテックは合計18万匹の蚊を1週間に約12000匹ずつ、12週間かけて放つとしています。この実験が成功した場合、今年の後半に再度、2000万匹をリリースするとしています。

 
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