豪政府 中国企業へのダーウィン港99年貸与を見直しへ

安全保障上の懸念から

豪州は、国家安全保障上の理由から、ダーウィン港の99年にわたる中国企業への貸与の見直しを検討しています。

豪日刊紙「シドニー・モーニング・ヘラルド」5月3日付けの掲載記事によると、豪州の国防当局は中国企業との貸与契約について再度見直しているとしています。

ダーウィン港は商業・軍事の両面で使用されています。中国のエネルギー・インフラ企業・嵐橋集団公司(ランドブリッジグループ)が2015年に港湾の管理権を掌握しました。

メディアの報道によると、ランドブリッジグループ(嵐橋集団公司、Landbridge Group)は中国共産党と密接な関係があるされています。

同グループの会長葉成(よう せい)氏は、2019年のインタビューで次のように語っています。「我々ランドブリッジグループは、習主席の『一帯一路』構想に全面的に対応する」

「一帯一路」構想は、中国共産党が推進している数兆ドル規模の世界的なインフラ計画です。この構想は中共の対外的な影響力を高めるための狙いがあるとされています。

豪州のピーター・ダットン国防相は、シドニー・モーニング・ヘラルド紙に対し、「この貸与契約の見直しについて国防省は助言を求められた」と述べました。

ダットン国防相は現在、助言のため再検討の段階にあるとしています。また、「助言の後、我々の国益にかなう選択肢を考慮できるようになるだろう」述べました。

豪州のスコット・モリソン首相は先週、国防当局者が国家安全保障上の懸念を提起した場合には行動を起こすと発表しました。

検討の結果は現在明らかになっていません。しかし、ダーウィン港の戦略的重要性は明らかです。ダーウィン港は、豪州の北海岸で最も重要な軍事要衝であり、アジアに最も近い港湾です。

また、ダーウィン港は米海兵隊の巡回防衛基地としての役割も担っており、現在最大で2,500人の米海兵隊員を受け入れています。さらに、米海軍艦艇用の燃料供給施設も設備されています。

そのため、2015年に豪州政府がランドブリッジグループと貸与契約を結んだ際、米国から懸念の声が上がっていました。

 
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