ニューハンプシャー州議員、批判的人種理論を禁止する法案を提出

米ニューハンプシャー州の共和党下院議員は批判的人種理論(Critical Race Theory)に照準を当てています。3人の下院議員は、州の研修プログラムでこの理論を扱うことを事実上禁止する法案を提出しています。ニューハンプシャー州の州都コンコードで行われた集会では、この理論に基づく教化(洗脳)に参加者からの反対の声が上がりました。

ニューハンプシャー州の法案は、人種や性別に基づく特定の分裂的で対立構造を作る概念が、州の契約、助成金、研修プログラム等で広まることを阻止するものです。

この法案を提出した一人、キース・アモン共和党下院議員は4月24日に集会で発言しました。キース・アモン議員は州議会下院でこの法案の成立に尽力していますが、法案に反対する意見を取り上げて次のように語りました。

ニューハンプシャー州共和党下院議員/キース・アモン
「この法案に反対する人たちは憤慨し、それ(法案)が何を構築するかについて嘘を語っている。彼らは全く馬鹿げたことを言う。この法案は女性の参政権を教えないとか、ホロコーストがどうだとか、眠れる米国の歴史だとか、すべてそれは戯言であり、煙に巻く行為だ。そんな話に耳を傾けてはダメだ。法案を読めば、それらがすべて嘘だと分かる」

批判的人種理論はマルクス主義に根差しています。批判的人種理論はマルクス主義に根差しており、「人種と法と権力とのあいだの関係を改変することを目的とした法学運動」(Richard Delgado)と定義されています。

ヘリテージ財団によると、この理論の支持者は人種、性別その他のアイデンティティを、抑圧のシステムに役立つ社会的構成要素と見なしています。しかし、集会に参加したリリー・タン・ウィリアムズさんは、この理論について米国人に注意を促しています。

リリー・タン・ウィリアムズさんは、この理論と、毛沢東が中共の文化大革命で権力を獲得するために使った戦術との類似点を強調しています。

共産主義を生き延びたリリー・タン・ウィリアムズさん
「文化大革命では、彼らは人々を紅五類と黒五類に分けた。批判的人種理論では、人々を抑圧する側と抑圧される側に分ける。もしあなたが白人で、男性で、保守的な考えなら、あなたは抑圧される側に属する。そのような分断は、私には馴染みがあり、私は嫌いだ。分断の後に来るのは征服だから」

アフリカ系米国人の文化とビジネスの中心地でもあるハーレム在住のバーバラさんも批判的人種理論に反対する意見を述べています。

ハーレム在住のバーバラさん
「批判的人種理論は神の原理に基づいていない。それは人が作ったものであり、人種差別を教えているのよ。彼ら(左派)が、この国のように振る舞うので、あなたたちは、ここでは成し遂げられないと思っている。でもね、ここでやっていけると皆にはっきり伝えましょうよ。ジェームス・ブラウンをご覧なさい。彼のような人たちが皆成功して暮らしているのよ。ここ米国にはチャンスがあるのだから」

この法案は、州政府の特定のコミュニケーションにおいて、ある人種や性別が他人より本質的に優れているという概念や、ニューハンプシャー州や米国は本質的に人種差別的であるなど、対立を煽る概念の普及を禁止することにより、この理論を事実上禁止するものです。法案は現在州議会上院で審議されています。

 
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