台湾タロコ号脱線事故現場で救援活動の医師が経過報告

台湾鉄道特急タロコ号の脱線事故で難しい救助活動が行われるなか、あるボランティア消防士が現場の救出活動を記録しました。白衣を着た医師が真っ暗なトンネルの中で子供を抱いてそっと落ち着かせている様子が撮影されており、医師が暖かく抱きしめると、怖がっていた子供が泣き止みました。花蓮県消防局救護チーム大隊長も務めているこの医師はメディアの取材を受け、救助の様子を説明しました。

台湾鉄道タロコ408号の事故現場で、あるボランティア消防士が救助の様子を記録しました。当時、多くの消防士が作業にあたるなか、白衣を着た医師が現場を指揮していました。医師は花蓮慈済医院の整形外科医、呉坤佶(ご・こんきつ)医師で、花蓮県消防局救護チーム大隊長、特殊捜索救助隊教官も兼任しています。

花蓮慈済医院の整形外科医 呉坤佶医師
「最初、その子は混乱しており、母親から離れようとしなかった。私はその子に、お母さんは怪我をしていると言い、お母さんの治療が終わったら子供さんをお返ししますと言うと、その子は最初はぐずっていたが、『今日は注射しないからね、心配いらないよ』と言った。するとその子はおとなしくなって私に寄りかかってきた」

負傷者の家族 雷さん
「私の妻はあの辺に横たわっていた。妻は眠気を感じていて、すでに元気がなくなっていたが、呉先生がずっと妻の手を握って声をかけて励まし続けていた。子供のために頑張りなさいと」

呉医師は「特別捜索隊員と事故現場に入って現場を目の当たりにしたとき、大災害の救助に何度もあった経験のある自分でも恐れを抱いた。多くの場所は歩くことのできるスペースが完全にふさがれていたためよじ登りながら進むしかなく、現場に入って見下ろすと、救助を待つけが人か、手の打ちようのない遺体があった」と語っています。

花蓮慈済医院の整形外科医 呉坤佶医師
「私は今回のことすべてを忘れようとしていて、実際のところ私の今の心は空っぽである。頭の中はすでにゆっくりと忘れかけているが、私がいま心配しているのは、今日の手術のことだ。私の正常な生活にできるだけ早く戻りたい」

救助活動中に呉医師は白衣を脱いで体温維持のために負傷者に着せました。病院に送った後、その白衣は呉医師の元に戻りました。白衣に付いた痕跡は、今回の救援活動の痛みと忘れられない記憶を記録しています。