西側SNSに新疆賛美の動画が大量に投稿 「中国では使用できないはずなのに」【禁聞】

新疆ウイグル自治区における中共の人権侵害をめぐり、欧米諸国が中共高官に制裁を行うことを決定したこのタイミングで、中国国内で使用が禁止されているはずのユーチューブとツイッターに、ウイグル人らが「新疆でよい生活を送っており自由に行動している」様子を撮影した動画が相次いで投稿されています。これに対し、中国で使用できないはずのこれらのプラットフォームに、なぜ新疆人が投稿できるのかと疑問の声が上がっています。

米国、EU、英国、カナダは同じ日に、新疆ウイグル自治区で人権侵害を行っている中共高官に制裁を科すと発表しました。EUと英国による中共の人権問題に対する制裁は、1989年の天安門事件の際に欧州連合と英国が行って以来となります。

その後メディアは、中国国外のプラットフォームであるはずのユーチューブに突然、新疆のウイグル族やカザフ族の人々が、よい生活を送っており自由に行動できると宣伝している動画が大量に投稿されていることを発見しました。

動画
「ここでミルクティーを飲み、ドンブラ(カザフ族の楽器)を弾いて歌を歌っています」

あるカザフ族の女性も旅行の様子を投稿しています。

動画
「今日は白鳥を見に来ました。まだ到着していません。景色がとてもきれいです」

ツイッターにも新たなアカウントが大量に作成され、若い女性が中共の人権問題を弁明する動画だけが投稿されています。新疆の人権問題に長年注目してきた中国の人権活動家、胡佳(こか)さんは、新疆人がユーチューブやツイッターなどの海外のネットサイトに自由に投稿できるなど信じられないと述べています。

中国の人権活動家、胡佳さん
「中国でネット封鎖の突破の規制が一番厳しい地域にチベットと新疆が含まれている。ということはこれらの場所でネット封鎖の突破を行ったら違法行為に認定されるのだ。新疆にいる人がユーチューブに何かをアップロードできる可能性は極めて低いと思う。新疆の一般人がだ。リスクが大きすぎるからだ」

中共高官と政府が雇った五毛サイバー軍団は、中共がネット封鎖を行っているこれらの海外プラットフォームにいつでもアクセスして、どんな情報でもスムーズに投稿できます。

胡佳さん
「あの場所で気持ちよく過ごしているとか、自由な生活を送っていると言うなら、私はこれっぽっちも信用しない。新疆に行った人は全員が、『いたるところに特殊警察がいる。全部武装警官だ。あらゆる手段によって身分証を確認するだけでなく、街頭で呼び止められてスマートフォンの中を検査されることもある。平和で安寧な場所がある状態でないのは明らかだ』と不満を漏らしている」

胡佳さんは、西側の民主主義国家の制裁に対し、中共メディアはすでに全力で反撃しているが、当局はそれだけでは不十分だと判断して自主メディアを利用して反撃に加えようとしていると考えています。

世界ウイグル会議広報担当者のディルクサット・ラクシット氏
「国際社会からの圧力がますます高まり、中国(共)がウイグル人らに対しジェノサイドを行い、人道に反する罪を犯していると認定する国が増え続けている。このことによって、中国(共)政府に国際社会の怒りが伝わった。そのため彼らは出陣して、捏造を行って事実をうやむやにし、様々な嘘を重ねたプロパガンダに全力を注いでいる」

世界ウイグル会議の広報担当者のディルクサット・ラクシット氏は、少数民族はネット封鎖を突破することが禁止されているが、中共は虚偽を広める宣伝工作を行うために、五毛党(ごもうとう)にアカウントを作成させて、西側の自由民主主義体制を利用して独裁政権のプロパガンダを行っていると指摘しています。

ディルクサット・ラクシット氏
「今日知った最新情報は、帰宅した学生は全員、このような動画を作成して公開するよう要求されるというものだった。だからこれは一種のごまかしなのだということが分かるだろう」

カザフスタンに住む新疆出身のビジネスマンのディナさんはラジオ・フリー・アジアに対し、自身の故郷である新疆のイリでは、現地の学生は卒業すると村の共産党委員会に出向いて、新疆の生活のすばらしさを讃える様子を録画するよう要求され、それらは中共高官によって海外で公開されると話しています。

ディルクサット・ラクシット氏は、「知性のある人なら誰でも、中共の嘘を広めるプロパガンダを信じることはできない。海外に逃れた新疆の収容キャンプ被害者たちがすでに多くの真実を明らかにしているからだ」と考えています。

ディルクサット・ラクシット氏
「共産党はたくさんの嘘をついたため、もう誰からも信用されていない。だから私は(中共のプロパガンダは)大多数の正常な人たちに大きな影響は与えないだろうと思っている」

国際社会による新疆での独立調査の実施を中共が拒否しているため、外部からは内部の状況を限定的にしか知ることができません。

ディルクサット・ラクシット氏
「口先では『歓迎する』と言いながら(現地には)入らせない。ジャーナリストらは行っても阻止されているではないか。ジャーナリストに取材させないではないか。彼らの言う『歓迎』は口先だけだ。どんな人なら歓迎されるのかというと、すべてのことが彼らによって手配され、彼らの言うことを聞き、彼らの話を書き、彼らの話すことを伝える人だ」

2019年10月に新疆で視察を行ったことのあるカナダの歴史研究者のオルシー・ジャジェキー(Olsi Jazexhi)氏はあるシンポジウムで、中共宣伝部は安心できる人物を選定した後、その年の8月にその人物と一部のジャーナリストに新疆の視察を許可したと発言し、中共はタリバンよりもひどいという結論に達したと述べました。

2019年11月には多くのメディアが、衛星を通じて収集した情報によって新疆地区には約1200か所の収容キャンプが存在し、数百万のウイグル人が収容されていることが明らかになったと報じました。

トランプ前大統領の任期が切れる前に、米国務省は新疆の少数民族に対する中共の迫害はジェノサイドだと認定しました。その後カナダやオランダも同様の指摘を行ったほか、豪州とトルコの国会議員もそれぞれ類似の主張を行っています。

 
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