中国人富豪の息子が当局から指名手配 専門家「真のターゲットは父親」【禁聞】

中国の不動産開発大手SOHO中国の潘石屹(はん・せききつ)董事長の息子が最近、北京警察からインターネットで指名手配されました。しかし警察の本当のターゲットは潘石屹本人だとの見方があります。潘石屹は中共の逆鱗に触れてしまったのでしょうか。潘石屹は数年前から中国で保有している資産の売却を繰り返し、海外資産の購入を進めています。

3月15日に北京警察が出した通達が世論から大きな関心を集めています。

中印国境紛争で死亡した中国軍兵士の名誉を傷つけたと中共が主張している「潘」という人物は、SOHO中国の潘石屹董事長の息子で、米国在住の潘瑞(はん・ずい)だと考えられています。

ジャック・マーや任志強(にん・しきょう)に続いて中共から注視されるようになった中国人富豪は潘石屹でした。

数年前から潘石屹は、自分は純粋なビジネスマンであり、親しみやすい人物であるよう常に心掛けていると話していました。どうして突然、今回のようなトラブルに巻き込まれたのでしょうか。

評論家は、今回の件によって中共がジャック・マーのようなトップクラスの富豪だけをターゲットにしているのではなく、潘石屹のような中堅どころの富豪をも搾取の対象にしていることが理解できると指摘しています。

中国のジャーナリスト 高瑜氏
「檻の中の豚はぜんぶ殺してしまえということだ。その刃をかわし切れるものではない。中共は現在、毛沢東時代と同じ路線を歩んでいる。彼らの改革開放では、政治制度が変更されたことなど一度もなかった。経済政策も2つの「30年」に通じている。彼らは自分たちが実行したい政策であればなんでも実行する。檻に入れて太らせたら鉈を振るう。それも彼らの政策だ」

ある法律専門家は、潘瑞の一連の発言が英雄の名誉棄損にあたるとはとても言えないと指摘しています。

米サウスカロライナ大学エイキン校の謝田教授は、富豪の「ニラ」を刈るために、中共が理由をこじつけているとして、非常に不条理だと語っています。

また中国のジャーナリスト、高瑜(こうゆ)さんは、今回の件は任志強とも関係している可能性があると推測しています。

高瑜氏
「私はツイッターで任志強をフォローしていただけだったが、結果、息子の仕事がだめになった。潘石屹と任志強は友人関係にあり、二人とも不動産業を営んでいる。ならば目標はもっと大きいに違いない。だから当局に目をつけられたのだ」

謝田教授は、ジャック・マーから任志強、そして潘石屹までもが狙い撃ちされたことは、中共が中国の民間資本家に対し、銃口を向け始めたことを象徴していると考えています。

謝田教授
「特に今は中国経済が疲弊しており、外貨収入も途絶え、資金も不足している。彼らは今、またもや計画経済や左寄りの時代に立ち返ろうとしており、彼らは経済面でも統制を強化している」

フォーブスの世界長者番付2019に掲載された潘石屹とその妻の張欣(ちょう・きん)の個人資産額は、215億7000万元(約3604億6700万円)に達しています。

またメディアの統計によると、2006年から現在までにSOHO中国は累積配当を12回行っており、潘石屹・張欣夫妻は配当金として約133億円(約2224億1300万円)を受け取っています。

2014年から現在までに潘石屹は国内資産の売却を重ね、約300億元(5016億円)の現金化を終えています。こうした一連の動きに対し、中共が着目しないはずはありません。

高瑜氏
「(中共は)是が非でもあぶく銭を手に入れようとしているのだろう。彼らは自分たちの政権を維持したいのだ。そのためこれらの民間企業は彼らの政治的観点に関わらず、すべて注視されている」

潘石屹は、国内資産は値下げしてでも売却を続ける一方で、海外では爆買いを続けており、ニューヨークのポート・オーソリティ・バスターミナルのオフィスビルを次々と購入したほか、マンハッタンのパーク・アベニューの株式の49%を取得しました。

また妻の張欣は2013年にブラジルの富豪であるサフラ家と提携して、米ジェネラル・モータースビルの株式の40%を14億ドル(約1523億円)で購入しました。

潘石屹の長男も英国で不動産会社を設立して、現地に多数の不動産プロジェクトを抱えています。

この資産「大脱走」ゲームの背後で、潘石屹はどのような計画を立てているのでしょうか。

謝田教授
「当然、中共から逃げているのだ。だがみたところ、ますます困難になっている。潘石屹のような人は、不動産市場がまだ今のように疲弊する前に多額の資産を移転し、それを米ドルに換えて海外で買収を行った。そのことが中共を不快にさせたのだろう。これらの民間資本が海外へと逃れていくのを黙ってみているしかないからだ」

ウェイボーのフォロワーが2000万人を超える潘石屹が、中共肺炎の流行中に武漢に寄付を送らなかったことで論争が起こりました。潘石屹は以前に米国の大学に累計で約6億ドル(約653億円)もの寄付を行っていたからです。

謝田教授は、潘石屹や李嘉誠といった大富豪は、中共上層部への接近を深めればその分だけ中共の内情が理解できるのだと述べています。彼らは一部の資産の海外移転を成功させましたが、彼らのような人は少数派に過ぎず、多くの富豪はやはり逃げられずにいます。

中共は潘瑞を逮捕するために不当な理由をこじつけました。潘石屹の資本「逃走」が今後どのような道筋をたどるのか、中共は潘瑞や潘石屹に対し新たな行動に出るのかに注目が集まっています。

 
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