中印衝突の犠牲者家族への慰問を禁止する 電話録音で暴露

昨年6月、中印国境で死傷者が発生する軍事衝突が勃発しました。当時、中共当局は死者数に関する情報を公開せず、今年の2月に入り、ようやく4人の兵士が犠牲になったと発表しました。 近日、中国のネット上に暴露された電話録音により、中共当局者が中印国境紛争による死亡者の家族を慰問しないよう退役軍人に警告していたことが明らかになりました。

3月8日、ネット上にはある女性幹部が退役軍人に「北京で両会が開催されているため、中印国境紛争による死亡者の家族を訪れ、慰問してはならない」と警告する通話録音が公開されました。

電話録音の通話相手は、河南省鄭州市の地域事務所(東風路街道弁事所)の幹部だと自称しています。片方は32年間兵役を務めた中共の退役大佐、王宇中(おう・うちゅう)氏です。

情報によると、王宇中氏がウィーチャットのグループで「烈士家族を慰問する」ことを呼びかけたところ、当局の注意を引いたのがことの発端で、王宇中氏は中共の解放軍に30年以上も奉仕し、武漢軍区や済南軍区から何度も表彰されてきたベテラン軍人だといいます。

河南省鄭州市東風路街道事務所の幹部
「あなたに言っておくが、敏感な時期なので行かないでほしい。これは市政府の現行方針である。公安はあなた達を含めて、ネット上の情報を監視している。敏感な問題に触れる情報は検閲対象となる」

退役大佐
中印衝突の烈士家族を慰問するのが間違っているのか。なぜだめなのか。何の理由があるのか」

河南省鄭州市東風路街道事務所の幹部
「理由はない!」

退役大佐
「あなたの伝達は、理由もなく、根拠もない。とにかく慰問はだめだと警告するためなのか」

大連市の元警官劉暁斌(りゅう・ぎょうひん)氏は、「中国共産党は人民を潜在的な脅威と見なし、維穏(社会的安定維持)政策の対象としている。中共のために命を捧げてきた軍人でさえ安定維持の標的になる」と述べています。

大連市の元警官 劉暁斌氏
「この大佐について言えば、30年以上軍に奉仕した。上からの指示に対しても従順であり、自分には(政治的な)問題がないと思っていたのだろう。だが、30年以上軍に忠誠してきた者であっても、ある日突然、理由もなく安定維持の対象になるとは、思ってもみなかったことだろう」

昨年6月15日、中国とインドの国境において死傷者が発生する軍事衝突が勃発した際、中共当局は中国側の死者数に関する情報を公開しませんでした。今年の2月19日に入り、ようやく国境紛争において4人の死者が出たと発表しました。

中国人著名ブロガー仇子明(きゅう・しめい)氏(アカウント名:辣筆小球)はウェイボー(Weibo)に「死者が4人のみとは到底思えない」と投稿したため、英雄烈士を侮辱し、騒動を挑発したとして、南京市警察当局より拘留され、またウェイボーアカウントについて1年間の利用禁止処分を受けました。

ロシアの国営通信社イタル・タス通信は2月10日、中印両軍の衝突により中国側には45人の死傷者が出たと報じました。この数字は中共当局が公開した死者数より11倍多く推算されています。

 
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