習近平の「貧困脱却」はやはり政治ショーだった

習近平総書記は2月25日、北京で行われた貧困脱却の取り組みを表彰する式典に出席し、約1億人近い中国人が貧困から脱却したと高らかに発表しました。そして3月5日、李克強総理は、第13回全国人民代表大会(全人代)第4回会議の政府活動報告で、脱貧困者が貧困に逆戻りしないことを確実に保証すると強調しました。中共の脱貧困の「政治ショー」は、どのようにして生まれたのでしょうか? エポックタイムズが最近内部文書を入手しました。

習近平氏は2月25日の貧困脱却表彰式で、農村部の貧困人口9899万人がすべて貧困から脱却し、中国は全面的に「小康(ややゆとりのある)社会」に入ったと発表しました。3月5日には、李克強総理が全人代での政府活動報告で脱貧困に再び言及し、「大規模な貧困への逆戻り」が起きないことを確実に保証すると強調しました。

エポックタイムズが最近入手した、各地方政府の内部文書では、中共当局が地方政府や国有企業に対して、貧困地域の各種特産品の購入を義務づける「消費による貧困扶助政策」を進めていることが明らかになりました。

時事評論家 李林一氏
「貧困扶助は演技にすぎないが、演じる過程にも大きな問題がある。例えば「消費による貧困扶助」。貧困地区の茶葉、なつめ、特産品などをセットにした「貧困扶助パッケージ」がある。北京当局は国有企業の従業員に、これを購入させるのだ。ここで問題が生じるが、翌年に購入しなくなれば、この地域は直ちに貧困に逆戻りすることになる」

内部文書によると、国有企業は特定の地区を担当し、貧困扶助のために負担する金額などもあらかじめ決められています。また文書では、脱貧困の戦いには多くの問題があると認めており、根本的解決法はなく、繰り返し検査し改善するしかないとしています。中共メディアの新華社通信は少し前の記事で、「太陽光発電プロジェクト」は貧困層の救済に失敗しただけでなく、貧しい村に多額の借金を負わせたと批判しました。

時事評論家 李林一氏
「行政文書には、貧困家庭は太陽光パネルの設置によって、収入を得ることができると、非常によいことが書かれている。しかし、太陽光パネルは定期メンテナンスが必要で、その家庭にはそんなお金はない。これらには言及せず、パネルを設置したら、貧困から脱出でき、年間いくら収入が得られるとしか言わない」

時事評論家の李林一氏は、中共の計画経済式の「消費による貧困扶助」は、中国人を貧困から脱却させるためのものではないと考えています。李氏は、習近平氏のシンクタンクが、習氏のために「人民指導者」の称号を考え出し、人民の名の下で貧困層を扶助するという「政治ショー」を演出しただけに過ぎず、中共と自分自身を自賛すると同時に、貧困問題の病根を隠蔽しているが、実際は中共の体制こそが根本の原因であると指摘しています。

 
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