インド太平洋司令部が「太平洋抑止イニシアチブ」予算の倍増を要求

米軍インド太平洋司令部は3月1日、議会に予算報告書を提出し、中共の安全保障上の脅威に対応するため「太平洋抑止イニシアチブ(Pacific Deterrence Initiative)」への予算を倍増するよう要請しました。同日、オースティン国防長官は新たに設立された「チャイナ・ワーキング・グループ」第1回会議を主催しました。

米軍インド太平洋司令部は3月1日、議会に予算報告書を提出し、「太平洋抑止イニシアチブ」への予算について、2021年度の22億ドル(約2351億3600万円)から2022年度には46億ドル(約4916億400万円)に増やし、今後5年間に274億ドル(約2兆9285億1200万円)を投じる計画を立てるよう提案しました。この予算は、新たなミサイル防衛システムの追加、レーダーステーションと新たな通信衛星の配備に充てられるほか、インド太平洋地域に新たな訓練基地を建設するためのものです。

インド太平洋司令部のフィル・デビッドソン提督(Adm. Phil Davidson)はこの報告書に言及した際に「我々は、武器を使用して目標を実現すると、その代償は非常に高くつくことを北京に知らしめなければならない」と述べました。

「太平洋抑止イニシアチブ計画」は米国議会で昨年可決された国防授権法に盛り込まれており、中共を封じ込めるために米国の抑止力を大幅に高め、インド太平洋地域における米国の防衛コミットメントを示すことを主旨としています。

元米国国家安全保障 担当大統領補佐官H・R・マクマスター(Herbert R. McMaster)氏
「最も重要なことは、(米国が)この地域において主導的かつ強力な連合部隊を維持しなければならないということだ。なぜなら中共が行おうとしているのは、南シナ海にバリアを形成して、我々が同盟国に提供する防衛支援のコストを上げることだからだ」

バイデン政権発足後、中共は台湾への軍用機の派遣や「海警法」の可決といった軍事面での強硬なシグナルを発し続けています。この「海警法」の成立により、中共は必要に応じて外国船への攻撃を行うことができると主張し、度重なる海上軍事演習も行っています。

中共に対応するため、国防総省はすでに新たなチャイナ・ワーキング・グループを発足させ、オースティン国防長官は3月1日に第1回会議を開催して基本的なガイダンスを行いました。

米国防総省のジョン・カービー(John Kirby)報道官
「今日の会議は、ワーキング・グループの使命、スケジュール、成果を正式に確定するためのものだ」

カービー報道官は、オースティン国防長官はワーキング・グループに対し、中共が米国に対し構成している「ペーシング・チャレンジ」を詳細に観察し、米国が講じる必要のある対応措置を提起するよう希望していると述べました。チャイナ・ワーキング・グループは今後4か月の間に報告書を提出する予定で、その大部分の結論は「機密扱いになるだろう」と言われています。

 
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