エストニア「北京政府は声の上げられない世界を創ろうとしている」【禁聞】

エストニアの情報機関がこのほど国際安全保障報告を発表し、中共は「北京が主導する、人々が声を上げられない世界」を構想していると明言し、習近平国家主席が先日、中国・中欧・東欧「17+1」サミットを主催した際に、エストニアは出席者を変更して大臣を派遣しました。今回エストニアが改めて安全保障報告を出した目的は、EUに対し警告を発することでした。

人口わずか132万人で、一人当たりのベンチャー企業の数が世界で最も多いエストニアは、独立から10年でEUの他の大国よりもデジタル化が高度に進み、「バルト海のシリコンバレー」とも呼ばれています。

2月12日にエストニアの対外情報局は82ページにわたる国際安全保障報告を発表して、中共指導者層が「世界を中国の技術に依存させるという明確な目標を掲げている」と指摘したほか、中国の5G事業者のファーウェイと中国版GPSとも称される「北斗」衛星測位システムにも言及しました。

この報告書はエストニア政府高官に対し、もしエストニアが「中国の技術エコシステムを導入した場合、エストニアは脆弱化して中国に依存するようになるだろう」と警告を発しています。エストニアは以前、安全上の懸念を理由にファーウェイが政府機関に技術と設備を提供することを禁止しました。

報告書は、北京政府は経済、科学技術、情報、虚偽情報などの分野において、西側への影響力を広げるために多角的な取り組みを行っているとして、「中国の『運命共同体』外交政策の信条を実践することによって、北京が主導する、声の上げられない世界に向かうことになる」と指摘しています。

この機関は、欧州と米国の分裂も北京の主な目標になっており、「分裂した欧州は取るに足らない敵だということを彼らはよく分かっている」とも警告しています。

米国のニュースサイト・アクシオス(Axios)は、エストニアにとっての安全保障上の最大の懸念は長年にわたりロシアだったが、2010年に入ってからは、北京政府が経済的脅迫を行って地政学的目的やサイバー諜報活動、ロシアとのパートナー関係の拡大を実現していることについてエストニアが警戒心を強めているとして、今年の対外情報報告にはこれまでで最も厳しい言葉が使用されていると指摘しています。

米国在住の時事評論家、鄭浩昌(てい・こうしょう)氏は、エストニアの報告書で指摘されている内容に目新しいものはないが、中共に脅されながらも恐れずに指摘するには勇気が必要だったはずだと考えています。

米国在住の時事評論家、鄭浩昌氏
「エストニアの報告書が反映しているものは実際のところ目新しいものはないが、中共がずっと欧州で浸透し続けているうえ、ロシアよりも北京の脅威の方が大きくなっている。だが欧州の多くの大国はこのようなはっきりとした言葉を避け、北京政府の機嫌を損なわないようにしている。だからエストニアがこのような事実を発したことは簡単にできることではない」

エストニアの公共放送局によると、駐エストニア中共大使館は14日、この報告書を「事実を歪曲し、悪意ある攻撃を行っている」と主張する声明を発表しました。中共側はこの報告書を修正するよう求めましたが、エストニア外務省は拒否しました。

この報告書が発表される数日前に、エストニアと他の5か国は、習近平総書記が自ら開催した中国・中欧東欧国家「17+1」サミットに大統領や首相ではなく大臣を派遣し、北京政府から距離を置きました。

中国問題研究家の薛馳氏
「中共と中欧・東欧17+1サミットに大臣クラスしか派遣しなかったのは、中共のメカニズムに対する意図的なボイコットだ。エストニアの対外情報部門が発表したこの年度報告は、中共の拡大や野心について明確に警告を発している。この二つの件は、エストニアの政界の主流が中共のグローバル拡大路線とその拡大手腕に対し強い警戒心を抱いていることの表れだ」

エストニア対外情報局責任者のミック・マラン(Mikk Marran)氏は報告書の一部を引用して、中国とロシアのパートナーシップ関係が拡大する中で、「北京の方がより主導的な立場を占めていることが多い」と述べています。

中国問題専門家の薛馳(せつ・ち)氏は、エストニアは18世紀と第2次世界大戦後にロシアやソビエト連邦に併合され、1991年に独立してからは中共政権との交流を経て共産主義の拡大を敏感に察知していたと考えています。

薛馳氏
「中共はロシアを自分の懐に引っ張り込み、それから欧州の分裂を試み、さらに米国とは全面対立して米国に挑み、新たな世界の覇者になるつもりだ。もし中共が打ち出した運命共同体が本当に実現したら、世界は大惨事に見舞われる。このような国際情勢の変化の傾向を、エストニアはよく分かっているはずだ」

これと同時に、リトアニア当局は2月16日に国家安全上の懸念を理由に、リトアニアの空港に中国の保安検査機器メーカー「同方威視」(Nuctech、ニュークテック)の子会社が生産した手荷物スキャン設備の採用を禁止しました。リトアニア情報機関は、関連の設備にはセキュリティ上の懸念があると考えています。

鄭浩昌氏
「普通の小国は簡単に弱腰になって大国に屈服する。だがエストニアなどバルト三国はそうではない。彼らは小柄だがタフだ」

米国の作家、ベサニー・アレン・エイブラヒミアン(Bethany Allen-Ebrahimian)氏はアクシオスに寄稿した記事の中で、「バルト三国は過去にロシアの侵略に数十年抵抗した経験がある。エストニアの情報報告は、中共の現在の行動は類似の警鐘を鳴らしていることを示している」と述べています。