中共は米中首脳会談を模索 政府高官の訪問を計画 【禁聞】

1月22日、米国メディアは北京当局が現在、楊潔篪(よう・けつち)氏を訪米させてバイデン大統領との会談を実現しようとしていると報じました。これと同時期に起きた中共軍による台湾海峡防空識別圏へのたび重なる侵入について専門家は、北京はソフト面とハード面から、バイデン政権の今後4年間の中共に対する許容ラインを探ろうとしていると考えています。

ウォール・ストリート・ジャーナルは事情通の話として、北京は現在、最高クラスの外交官とバイデン政権の閣僚との会談を実現させ、両国の首脳会談の可能性を探ろうとしていると伝えました。

報道によると、中共政府は中共中央政治局委員、中央外事工作委員会弁公室主任の楊潔篪氏を訪米させ、トランプ政権時代とは異なるメッセージをバイデン政権に送ろうと計画しています。トランプ政権当時は米国政府の優先事項は貿易問題でしたが、バイデン大統領は現在、気象変動と疫病問題の解決を強調しているため、楊潔篪氏の計画もこれらの問題に焦点を当てています。

時事評論家の藍述氏は、楊潔篪氏は現在の時流に乗って、バイデン大統領とカマラ・ハリス副大統領が選挙期間中に提起した対中政策を、米中協力関係を再構築させるためのきっかけにしたいのだと分析しています。

時事評論家の藍述氏
「彼は気候変動と疫病を突破口にしているが、彼の目的はこの件だけでバイデンチームとの協力体制を模索しようと思っているわけではなく、実際にはバイデンチームの対中政策のすべてを理解したいと望んでいる。彼は北京の人間がワシントンに対する今後の政策を制定するのをサポートするため、こうして急いでいる」

藍述氏は、中共政府が楊潔篪の訪米を進めている理由について、バイデンチームの対中政策の方向性を全方位的に探るためだと指摘しています。

報道ではさらに、この提案は習近平国家主席がバイデン大統領の当選を祝うメッセージを送ってからすぐに、崔天凱(さい・てんがい)中共駐米大使が書簡で提案したものだとしています。中共駐米大使館はその事実を否定していますが、中共政府がこの種の会談を提案したかどうかについては言及していません。

バイデン政権の国家安全保障チームには、国防長官にロイド・オースティン(Lloyd Austin)氏、国家情報長官にアブリル・ヘインズ(Avril Haines)氏、中央情報局(CIA)長官にはウィリアム・バーンズ(William Burns)氏が指名されましたが、財務省と国務省、国防総省の副長官についてはまだ全員の名前が挙げられていません。

国家安全保障政策を担う重要メンバーが完全に決まっていないにもかかわらず、中共政府はなぜ楊潔篪氏の訪米に関する情報を急いで発表したのでしょうか。

米国在住の時事評論家、鄭浩昌氏
「米中関係の改善について、バイデンは焦っていないが習近平は焦っているというのが現在の状況だ。バイデンは今、政治面での浄化を加速させ、トランプとトランプの支持者を根絶しようとしている。トランプの力は目下、バイデンの最大の脅威だからだ。習近平はバイデンの古い友人だから、バイデンは(中国問題を)後回しにしてゆっくり処理できる。だが北京は待ってなどいられない。中共は現在、国内外に問題を抱えているため、この局面を急いで変えなければならない。そうでなければ楊潔篪の訪米をこれほど急いだりはしない」

台湾の中央社は1月24日、中共は5種類の戦闘機合計15機を台湾西南防空識別圏に侵入させたと報じました。

台湾海峡における軍事情勢の緊迫と中共軍の領空侵犯について、米国務省は1月24日、中共政府に対し、軍事、外交及び経済面での台湾への圧力を停止するよう求めたほか、米国は今後も台湾に十分な防衛力を提供するとして、台湾と交わした約束は非常に強固だと強調しました。

時事評論家の藍述氏
「中共軍の戦闘機は数日間にわたり台湾を脅かした。このことと楊潔篪の訪米の目的は同じだ。一つは外交を通じ、もう一つは武力に訴えているが、いずれも米国が許容できる最低ラインを探ろうとしている。バイデンの大統領就任後、彼はオバマの対中政策を継承する可能性が非常に高いからだ。だがここで習近平は当時オバマに、南シナ海の軍事化は行わないと約束したことは注目に値する点だ」

藍述氏は、トランプ政権の4年間と中共ウイルスの世界的流行に伴い、米国のあらゆる層で中共に対する考え方が変わったと分析しています。またバイデン政権発足後、米国政府の政策はより柔軟になる可能性があり、中共が南シナ海の軍事化に関する約束を反故(ほご)にした場合、直接非難するかもしれないが、オバマ時代のように問題を軽視するかもしれず、北京は最近、バイデン政権の反応を把握しようと頻繁に動いているとも指摘しています。

米国在住の時事評論家、鄭浩昌(てい・こうしょう)氏は、台湾海峡情勢の緊迫は限定的なもので、台湾への侵攻は現時点では中共政府の主な任務ではないと分析しています。

米国在住の時事評論家、鄭浩昌氏
「台湾海峡情勢に明確な緊迫は起こらないだろう。中共が今台湾を攻撃しても実質的には何の得にもならないし、米中関係の再構築こそが最重要任務だからだ。そのため戦闘機の領空侵犯の激化も、バイデン政権の発足によって情勢が変わったあとの中共の戦術面での単なる試みにしかならないだろう」

このほど米軍インド太平洋司令部は、第七艦隊に所属するセオドア・ルーズベルト号を旗艦とする空母打撃群が南シナ海に入ったと発表し、その目的は「航行の自由を確保し、海上安全を確保するためのパートナーシップを構築するため」だと述べました。司令官は、南シナ海水域で海上軍事演習を行う予定であり、海・空軍が連携する戦術訓練を実施する予定だと述べています。

 
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