清華大学教授が薬品原料の輸出の武器化を提言 関係者「浮世離れした寝言」【禁聞】

清華大学経済学部教授で政府顧問の李稲葵(り・とうき)氏が、米国が行ったファーウェイ向けチップ生産停止措置に報復するため、薬品の原材料の輸出を武器化することを考えてもよいと発言しました。この発言は論争を呼び、中国の大学教授はこの手段を「間違っている」うえ「不道徳」と批判しました。また業界内部のある人物は、この種の脅威は「浮世離れした寝言」と一蹴しました。

米国はこのほど、中国の通信大手ファーウェイに対する規制をさらに強化しました。

南華早報(サウスチャイナ・モーニング・ポスト)が8月26日に報じたところによると、清華大学経済学部教授の李稲葵氏は、米国が中国のチップ入手ルートを遮断した場合、中共は薬品と薬品前駆物質(drug precursors)の輸出を武器化すべきだと発言しました。中共の半導体不足がさらに進んだ場合、中共は米国への薬品供給を制限する可能性があります。

李稲葵氏はさらに他のメディアに対しても自身が昨年述べた「ビタミン剤と抗生物質の原材料の90%以上が中国で生産されている」との発言を繰り返しました。同氏は、米国はこれらをすぐには生産できないだろうとも述べています。

一方、北京大学国際関係学院の查道炯(さ・どうけい)教授は8月29日に南華早報(サウスチャイナ・モーニング・ポスト)を通じて、李稲葵氏の提言を「間違っているうえ危険だ。非難されるべきだ」と述べました。

查道炯教授は、いかなる国の個人であっても、いかなる要素の影響も受けずに薬を入手するのは権利であり、必要なことでもあると考えています。また、薬品の輸出を制限した場合、中国で外国の薬品の生産活動が減少するか、完全に排除されるだろうと憂慮しています。

元米陸軍研究所ウイルス研究者の蕭恩氏
「李稲葵は完全に道徳の最低ラインが存在しない呼びかけをしている。正常で良識を備えた人であれば、この種の提案はできないはずだ。科学技術に対する制裁は、命に危害を及ぼすことはない。この提案は宣戦布告よりもさらにたちの悪い非人道的行為だ。清華大学はこのような悪人を直ちに解雇すべきだ」

中国は世界最大の医薬品原料輸出国です。

しかし、米中ビジネス評議会のダグ・バリー氏はラジオ・フリー・アジアに対し、メディアは米国の中国製薬品への依存度を誇張しており、実際にはそれほどではないと語っています。原材料の大部分は中国製でも、それらはまだ医薬品にはなっていません。米国の特許医薬品はまだかなりの割合を占めています。

山西潤沢医薬有限公司の元業務代表、趙明氏は、李稲葵氏は国産医薬品に対する基本的な理解が不足していると述べています。

山西潤沢医薬有限公司の元業務代表、趙明氏
「中国国内の医薬品関連の業界人なら誰でも知っていることだが、国内の全ての西洋医薬品、つまり化学医薬品はほとんどが海外で開発され、厳格な臨床試験を通過してようやく徐々に中国市場に入ってきた。それから国産化が始まってそれらは業界では『ジェネリック医薬品』と呼ばれている。治療効果と安全性については輸入薬品と合弁企業の薬品が間違いなく最初の選択肢で、国産医薬品はそのあとだ」
趙明さんは、ここ数年で中国の製薬会社は医薬品原材料の独占と輸出を重視し始めたが、中国の生産工程の精製技術レベルはまだ十分とは言えないとも説明しています。

元米陸軍研究所ウイルス研究者の蕭恩氏
「医薬品の生産は、最終的にはやはり西側国家が優位に立つ。中国は原材料を提供しているに過ぎない。薬品原材料の生産過程は結局のところローエンドで、このプロセスも産業チェーンの再編成の過程だ。米国が多くの生産力を向上させて、その他の国から一部の原材料を輸入することも可能だろう」

趙明さんは、ジェネリック医薬品の品質が輸入品に遠く及ばないなか、中国の薬品原材料の品質がそこまでよいはずがないとして、薬品原材料の輸出を制限して米国に制裁を与えられると思っているのなら、間違いなく「浮世離れした寝言」だと一蹴しました。

山西潤沢医薬有限公司の元業務代表、趙明氏
「米国の研究開発力と生産能力は中国を複数のレベルでリードしており、中国製の原料薬の輸入は、薬品生産の一つの段階を中国に任せているに過ぎない。なぜなら原材料の生産は化学産業と不可分で環境保護問題も関連するため、先進国は一部の生産を海外で行うか、あるいは海外からそれらを直接輸入しているからだ。その他の業界も同じで、米国が輸入に依存しているという意味ではない」

趙明さんは、米国はある製品の生産を行うとひとたび決定したら、短期間で大規模生産することが可能だと述べています。

山西潤沢医薬有限公司の元業務代表、趙明氏
「世界の名の知れた化学メーカーのリストに中国企業の名前はまだない。たとえば世界最大の化学メーカーの一つ、ドイツのBASFは複数の国に支社を持っているため、サプライヤーの変更や生産の再開は米国にとってさほど難しいことではない」

トランプ大統領と民主党の大統領候補バイデン氏はいずれも、医薬品の生産を米国に戻し、雇用を創出し、中国など外国メーカーへの依存度を下げるとしています。

元米陸軍研究所ウイルス学研究者の蕭恩(ショーン)さんは、李稲葵氏がこの種の戦狼方式でわめきたてても、欧州と米国による中国の産業チェーンからの脱却を早めるだけだとして、これもまた、中国経済における輸出を遮断する愚かな方法だと指摘しています。

 
 
 
 
 

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