止まない豪雨 長江中下流域に大規模な洪水の恐れ【禁聞】

中国南部で大雨が続く中、当局は35日間連続で豪雨予報を発し、緊急対応レベルも3級に引き上げました。長江の最初の洪水はすでに三峡ダムを通過し、大雨と放水によって武漢が再び冠水しました。また、気象部門は今後数日間、長江中下流域での洪水発生を警告しています。

中共メディアは7月6日、気象部門が7月5日から8日までの間に西南地区東部、江漢、江淮、江南北部などの地域で大雨が発生し、一部が豪雨になる見込みと発表したと報じました。湖北省監利県から江蘇省江陰市の間の長江は、警戒水位を完全に超えると予測されています。

台湾の中央社は、長江中流に位置し、洞庭湖が長江に流れ込む場所の対岸にある湖北省監利県と、南京と上海の間に位置し、長江下流にある江蘇省江陰市の間の長江の長さは約1200キロメートルと説明しています。

中国では豪雨が続き、当局は35日間連続で豪雨警報を発しています。全国の26の省と市で少なくとも2000万人が被災しており、水利部は7月4日18時に水害防止緊急対応レベル三級を発令しました。

当局は、「長江の今年最初の洪水ピークは7月4日に三峡ダムを通過しており、三峡ダムからの放水も長江下流域の水位を急上昇させた」と発表しています。また、7月5日朝6時半ごろ、湖北省武漢市、荊州(けいしゅう)、恩施(おんし)、潜江(せんこう)など11の県と市で赤色警報が発令されました。武漢の排水システムは麻痺状態、あるいは半麻痺状態にあり、都市全体が水に浸かってしまいました。

7月6日にあるネットユーザーが投稿した動画によると、河岸沿いの公園「漢口江灘」はすでに完全に冠水し、娯楽施設「江灘大舞台」も水没しています。武漢ソフトウェアエンジニアリング学院の入り口の冠水も深刻で、自動車が船のように見えます。武漢友誼通りは水深50センチの川と化しました。武漢友誼通りは長江に平行な主要道路で、長江とわずか2区画しか離れていません。

武漢市民の武さんは、武漢市内のほとんどは雨水で水浸しになったと言います。

武漢市民の武さん
「ここ武漢市の、長江の堤防はとても高いので水は入って来れない。だが危険な兆しはある。今(の水量は)岸から1メートルしかない。危険だ」
冠水も潜在的な危険性をはらんでいます。武漢市民がアップロードした動画には、7月6日に市街地に深刻な冠水が発生し、倒れた人が水中でピクリともしない様子が撮影されています。漏電によって感電死したのではないかとの声も上がりました。
動画音声
「警察車両が来た。どうしようもない。近づけない。時間は12時15分。あっという間に〇〇〇した」
「みんな注意した方がいい。たった今私の目の前で起きたことだ。あの監視装置の柱を触った人が感電した。今ようやく警察が来た」
武さんは、洪水を分流させたことによって市街地が影響を受けているとも話しています。
武さん
「陽羅、黃陂、孝感などの市街地はどこも浸水した。孝感の当たりは今、水かさが増している。孝感は長江の洪水を分流させた時や放水の時に冠水する。雨が1~2日止めば消えるが、止まなければ冠水都市になる。孝感は冠水都市になった」

孝感市民は、水害は非常に深刻だと証言しています。

湖北省孝感市の住民
「水害がひどい。市内を含むあちこちが冠水した。私の住んでいるところは主に雨降りがひどい。以前は雨水が長江に流れていたが、今は長江の水かさが増し、外に向かって流れる。この様子だと、あちこちで作物の収穫が見込めなくなってしまう」

三峡ダムが、下流で水害が発生した時に放水することについては仕方がないとあきらめています。

湖北省孝感市の住民
「昨日の放水量は少し減っていた。だがダムからまだ放水するだろう。上流の水害がひどいからだ。ダムが放水しなければ三峡ダムが危険だと言われている。だが放水すると、もともと水害が起こっているのにもっとひどいことになる。庶民が安全かだって?彼らの目には『全体的な情勢』しか見えていない。三峡ダムに別の問題が出ない限り、彼らにとっては(ダム事業は)大きな功績で、周辺の庶民のことなど気にもかけない」

武漢のあるネットユーザーは、「武漢市民はなぜこんなに不運なのか。武漢の疫病はまだ収束していないのに…武漢市民は十分に辛酸をなめた。4月8日に武漢の都市封鎖が解除されてから、他地域の人たちは、武漢市幹部がメディアで、まるで武漢に何も起きなかったかのような、武漢市民にも何の災難も降りかからなかったかのような大ウソをついている姿を目にしているのだろう」と落胆しています。

長江中下流の本流と、洞庭湖、鄱陽湖(はようこ)の水位が上昇を続け、江西昌江、楽安河、修水、湖北長湖と安徽菜子湖など10の河川や湖で洪水が発生している一方で、中共水利部の鄂竟平部長は、雨が続いた場合は適切な放水を行ってダムの貯水量を調節する必要があるため、今後発生する恐れのある大洪水に備えて準備を怠らないようにと述べています。

 
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