四川省の山火事 消防士ら19人死亡 当局の人命への軽視が招いた悲劇

3月30日、四川省涼山イ族自治州西昌市で山火事が発生し、消火活動にあたっていた消防士18人と現場を案内していた地元住民1人が死亡し、消防士3人が負傷しました。涼山イ族自治州では1年前にも山火事があり、消防士31人が死亡していました。

30日午後3時51分、西昌市で山火事が発生しました。発火場所は涼山イ族自治州の大営農場で、強風のため火はすぐに廬山景勝区に広がり、近くの衛星打ち上げセンターを脅かしました。

この火事で消火にあたっていた消防士18人と案内していた現地住民1人が死亡しました。映像では激しい山火事の現場から、消防士たちが撤退する様子が映されています。動画を投稿したユーザーは「人生は一回きりで死んだら戻ってこれない。このような状況では消火のために人を火の中に入らせてはならない。ああ、いつになったら人の命を真剣に考えるようになるんだ!」とツイートしています。

四川省西昌市の山火事現場
「後ろに退って!速く!」
「速く退って!もう息ができない!」

31日深夜、風により廬山景勝区が再び燃え出しました。火は寺院や学校、住宅地の近くまで燃え広がり、成都、資陽、雅安、眉山などから消防士が動員されました。

四川省のネットユーザー 胡さんは、「涼山自治州では昨年も森林火災が発生し、多くの人が亡くなった。ネットで情報を発信した多くの人が警察に逮捕された。警察は今年も情報を封鎖し、民衆が責任を問うのを阻止している」と述べています。

四川省のネットユーザー 胡さん
「森林火災で昨年も、数年前も多くの人が死亡した。中には兵士もいる。重要なのは今、当局はウイチャットを封鎖し、多くのネットユーザーや反体制派の人たちを迫害している。権力者にとって、安定維持が第一だ。これは単なる人権問題ではない。非常に悪質な問題だ」

ネットユーザーの廉(れん)さんによると、涼山イ族自治州には貧困家庭が多いが、地元政府役人の汚職腐敗がひどいため、住民は被災しても政府の救済を受ける事ができないといいます。それどころか、陳情を行った多くの住民が当局に弾圧され、闇刑務所に入れられた人もいるとのことです。

四川のネットユーザー 廉さん
「被災した多くの庶民は頼れるところもなく困っている。危険な家屋に住み続け、ひたすら耐えている。多くのことは地方官僚の腐敗が原因で、利益が絡んでいる。中央政府は被災後の再建に資金を出すべきだ。対外援助にはあれほどの大金を使いながら、自国民の生死はほったらかしだ。はっきり言うと、死に追いやっている。真相を暴くと代価を支払うことになる」

山火事予防の専門家で、海南省森林火災予防弁公室の元主任の劉福堂氏は、ラジオ・フリー・アジア(RFA)のインタビューの中で、極めて危険な森林火災や草原火災に対して人海戦術を使ってはいけないということを、過去の惨劇が警告していると強調しました。さらに、大量の死傷者が出る惨劇が次から次へと繰り返されるのは、指揮部門が専門性に欠けていることと、人命に対する当局の無関心が原因だと述べています。

 
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