拡大を続ける武漢刑務所内集団感染

新型肺炎は中国の刑務所内で爆発的に拡大しています。中国共産党当局の発表では、2月29日、武漢市だけでも新たに233人の受刑者の感染が確認されました。一方外界からは、これは氷山の一角で、実際の感染者数は当局のデータよりはるかに多いと見ています。

中共当局は3月1日、2月29日の武漢市内での新たな感染者数は565人だが、その内223人は受刑者で、これで受刑者の感染者総数は806人となったと発表しました。しかし外界は、実際の感染者数は中国当局のデータより遥かに多いはずだと見ています。

武漢市民 王さん
「中国の刑務所は人が押し合うほど密集している。所内での人権状況はひどく、受刑者をいじめる事はよくある。官僚にとって悪い情報は全て封鎖し、刑務所となるともっと厳しく封鎖される。この前(刑期満了で)北京に戻ったあの人は、後になって、一人だけではなく複数いたと言われている」

以前、刑務所で服役したことのある武漢市民姜(きょう)さんは、感染した囚人が治療を受けることはないと考えています。

武漢市民 姜さん
「一室で一緒に食事し、強制労働させられる。病気治療なんてない。個別に治療のため保釈されることはあるが、とても少ない。かわいそうだ。絶対に死んでしまう」

陳情が原因で服役させられた湖北省の陳情者、王さんは、刑務所では多くの受刑者が同じ部屋で労働していたが、心身ともに虐待を受けて一気に何人も死んだと語ります。当局が感染した囚人に優しくするはずはないと考えています。

湖北省の陳情者 王さん
「一室に20人おり、動ける者は労働を強いられる。治療のための保釈は金で買う。分隊の隊長は皆横領している。絶食(で抗議する)者たちを一室に入れ、もうすぐ死にそうな者も一室に入れる。家族には病死したと伝える」

3月1日の情報によると、一週間にわたり落ち着いるかのように見えていた武漢の各病院が、方艙(ほうそう)医院からの患者で再びいっぱいになったといいます。

方艙医院は臨時に開設されたコンテナ隔離病院で、軽症患者の隔離用の施設として武漢市で13か所設置されましたが、多くの軽症患者が逆に重症化しています。

武漢市民 王さん
「医院のベッドが数千床も空いたと言っている。しかし退院者は少なく、おそらくほとんどが死んだのだろう。空きが出たので、方艙医院の患者が病院に転院している。(方艙医院からの)退院者は政府の功績にできるので、政府は宣伝の機会を逃すはずがない。政府の虚言は常態化し、感染者や退院者数は全て嘘だ」

2月21日、中共当局は湖北省、山東省、浙江省の計5つの刑務所で集団感染が発生し、うち湖北省にある3つの刑務所の感染者が全体の半分を占めていると発表しました。翌日、武漢女子刑務所で刑期を終えた女性が、都市が封鎖されているなか、北京の実家に戻りました。しかし、この女性は2月26日に新型コロナウイルスの感染が確認され、波紋が広がっています。

 
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