武漢の臨時病院で広場ダンス? 患者は中で自生自滅

武漢市は市内の各地に10数か所の臨時病院を建設しましたが、患者の受け入れが始まってすぐ助けを求める動画が数多く流出しました。悪いイメージを払拭するため、官制メディアが近日プロパカンダ映像を次々公開しています。専門家は、当局のこれらの動きは返って、状況の深刻さを裏付けていると指摘します。

増え続ける感染者に対応するため、武漢市当局は体育館などを臨時病院に改造し、軽症患者の隔離施設として使用しています。しかし、内部の設備が粗末なだけでなく、医療従事者もこれは治療用ではなく集中隔離用の施設であるとたびたび強調しています。武漢の臨時病院は、外部から「収容所のようだ」と言われています。

米トーマス・ジェファーソン大学病院精神科医 楊景端氏
「患者をそこに入れるのは隔離のためだ。運がよければ生き残り、運が悪ければ死ぬしかない。中共が人々の死活に関心を示したことは一度もない。中共にとって、重要なのは安定で、これらの人々が中で大人しくしていればいい。だから、医者は分厚い防護服を着ているのに、患者はほぼ何の防具も着けていない」

臨時病院の悪いイメージを払拭するために、当局は患者と社会に対して大々的なプロパカンダを行いはじめました。

2月11日、官制メディア「人民網」の湖北チャンネルは、10日午後、武漢の洪山体育館の臨時病院でマスク姿の患者らが医療従事者と共に、中国共産党の赤い国旗に向かって「党の秘密を厳守し、永遠に裏切らない」と誓いを立てる場面を報じました。

別の動画では、武昌の臨時病院で十数人の医療従事者と患者が、ベッドで寝ている重症患者の周りを囲み、共産党賛美歌を歌っています。

米トーマス・ジェファーソン大学病院精神科医 楊景端氏
「人間の意志が弱っている時に、彼らを誘導したらそれに従うしかない。彼らは自分の運命、自分の生存環境や生存の状態を自分で左右することができない。踊れと言われれば踊るし、歌えと言われれば歌うしかない。これは彼らに許される唯一のことだからだ」

官制メディアではまた、臨時病院で防護服を着た医療従事者が、患者をリードして広場ダンスを踊ったり、太極拳の動作を行う動画も流していました。

米トーマス・ジェファーソン大学病院精神科医 楊景端氏
「このように運動すると、呼吸の回数が増え、マスクの湿度が高くなり、感染の可能性が増大する。しかし、共産党は彼らを中に閉じ込め、刑務所のように、治療も施さない。ある意味彼らはここで死を待っている。死を待つとなると、反抗するかもしれないので、そうさせないためには彼らの精神を誘導する必要がある。このような状況下で、共産党は彼らに歌を歌わせることで、精神的支えを与えている」

武漢市当局は数千人の患者を臨時病院に入れて隔離していますが、果たしてウイルスの蔓延を有効的に阻止することができるかどうかについて、外界は疑問を呈しています。複数の患者へのインタビューから、臨時病院に入った瞬間から、患者は自身の生命力で自生自滅するしかないということがわかります。

記者
今 臨時病院にいらっしゃるのでしょうか
患者
ええ
記者
薬や点滴など、治療はありますか?
患者
まだない
記者
医者は見にきたりしますか?
患者
まだない
記者
そちらには千人くらい入っているのでしょうか?
患者
番号が3900番台なので
記者
3900番まであるのですね

別の臨時病院に入所している患者の家族も、母親は重症なのに中で何の治療も受けていないと語ります。

武漢市江岸区市民 張華雪さん
「臨時病院は、発熱している全ての人を収容する施設で、治療を施す医療施設ではない。私の母親はまだ武漢展示センターの臨時病院に入っている。重症になっているうえ、発症の期間も長いので、生命維持措置を付けなければならない。本来なら一級病院に送られるべきなのに、いまだに転院されていない」

中国問題専門家の薛馳(せつ・ち)氏は、武漢の臨時病院は大型隔離収容所であり、中の状況は非常に深刻で、治療などは施されていないため、患者の親族が社会にその真相を伝え、世論の圧力で患者のために希望を勝ち取るべきだと呼びかけています。

 
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