「 防疫は建前 実際は強奪」広東省で個人財産徴用の決定

中国広東省は湖北省に次ぐ新型コロナウイルスの流行地域となっています。近日、広東省人民代表大会常務委員会は緊急会議を開き、広州と深センの市や区の役所が防疫のために、企業や個人の不動産、交通道具、設備などの徴用を可能にする決定を通過しました。地元市民は、これは公の強奪であり、抵抗に遭うだろうと考えています。

11日、広東省人民代表大会常務委員会は緊急会議を開き、「新型コロナウイルス防疫工作を全力でこなすための決定」を通過しました。この決定に基づくと、広州市と深セン市の各レベルの役所は防疫の必要に応じて、企業や個人から不動産、敷地、交通道具、設備などを徴用することができ、また関連企業に各種防疫物資や生活必需品の生産及び供給を要求することができます。

広州市民 李さん
「間違いなく抵抗するよ。共産党は匪賊だから、この名義で民の財産を強奪する。私は共産党の話なんか信じたことはない」

広州市民 肖さん
「徴用となったら、間違いなく強奪だろう。違法行為だ。市民が住宅を徴用されたらどこに住む?政府は手配してくれるのか?」

この決定では、暫定的に徴用した個人財産について法に則って補償し、返却できるものは直ちに返却するとしています。しかし多くの市民は、政府の合理的な補償はありえないと考えています。

深セン市民 毛さん
「これは憲法違反だから、間違いなく抵抗されるだろう。自ら社会問題を作り出している。具体的にどのように実施するのかはわからないが、徴用するとしたら、相応の補償が必要だ。深センの医療物資は限られており、今全国各地で医療資源を徴収している。」

市民らは、広東省の感染状況がコントロールできず手に負えなくなったため、当局が施設と物資の緊急徴用を行っていると考えています。

広州市民 肖さん
「このようになったら、特に深センと広州は武漢と同じような爆発的な蔓延になるだろう。政府を信じてはならない。武漢の時からずっと隠蔽している」

広州市民 李さん
「(広州は)もうコントロールが効かなくなっていると聞いているが、政府の報道ではコントロール可能だと言っているが、私は信じない」

このことはネット上でも議論を巻き起こしています。「強奪しなければ、共産党と呼べるか?盗みも強奪もしなければ、共産党ではない」「これは、公に強奪を始めるということなのか?」「中国共産党は防疫を借りて手中の権力を無限に拡大し、脅し・ごまかしの悪習を変えようとしない」

実際、湖北省武漢市では先週から大学の宿舎が隔離用施設として徴用されています。しかし、宿舎に残っている学生たちの私物はゴミとして勝手に捨てられました。

また雲南省大理(だいり)市では2月1日、地元衛生当局が大手宅配企業「順豊(SFエクスプレス)」の輸送途中のマスク598箱を「緊急徴用」し、物議を醸しています。これらのマスクは重慶市が国外から購入したもので、大理市を通過する際に押収されたのでした。のちに事態が大きくなると、2月6日大理市長が謝罪し、徴用物資を返却しました。

 
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