【動画ニュース】政府職員が石炭かまどを強制封鎖 炊事と暖房手段を封じられた村民から怒りの声

中国では大気汚染の防止を理由に、ここ数年で複数の省に「石炭禁止区域」を設置しています。近日、山西省の政府職員が「石炭禁止区域」に指定された農村で、村民のかまどをコンクリートで強制的に封じました。厳冬期を目前にして炊事や暖房手段を封じられた村民からは、怒りの声が上がっています。

冬を迎える中国大陸の農村部では毎年、厳しい冬を乗り越えるためどうやって暖房を確保するかが大きな課題となっています。

中国政府は大気汚染を防止し、スモッグを解消するためとして、複数の省に「石炭禁止区域」を設定しています。山西省では2017年に天然ガスパイプラインが村に敷設され、村民は石炭や木炭の代わりに天然ガスを使用するよう強制されました。この措置により、村民は暖房と調理のいずれにも天然ガスを使用しなければならなくなりました。

しかし天然ガスの使用料は高額で、穀物栽培と出稼ぎで収入のほとんどを得ており、経済的に余裕のない現地村民は、出費を抑えるために石炭を使用し続けていました。

山西省洪洞県の住民
「天然ガスのパイプラインが通ったが、このような(天然ガスを)大量に消費するものを使ったら(費用は)高くなるに決まっている。これまでは二千元(約31000円)あれば十分だったのに、今は五千元から六千元(約78000円〜93000円)かかる」

中国メディア『新京報』は12月19日、山西省臨汾市(りんふん-し)洪洞県南営村の共産党委員会は石炭禁止政策を徹底するため、一週間ほど前に村民の家に入り、コンクリートと砂でかまどの炉内をすべて塞いだと報じました。

現地住民は取材に対し、「村幹部は村民がかまどを使って炊事できないようにした」「壁を乗り越えて住宅に入り、かまどを強制的にふさいだ」と答えています。

山西省臨汾市洪洞県の村民
「セメントやコンクリートを使ってかまどを封じ、石炭を焚けなくした。石炭を燃やせないということは、寒く凍りつくということだ」

現地政府は村民のかまどを強制的に封鎖すると、「どこの家であっても火を使って炊事や暖房を使ったら、国に楯突いたとみなす!」と大々的に発表しました。これに対しあるネットユーザーは「大気汚染は本当に農民の煮炊きが原因なのか?」と疑問を投げかけています。

中国の元非政府組織活動家 楊占青氏
「主な汚染源は工場であって、民衆が調理や暖房に石炭を使っているからではない。政府はこうした方法によって大気汚染を解決しようとしているが、本当の汚染源は隠しているのだろう。なぜならこれらの巨大な汚染排出源は、政府に巨額の収入をもたらしているからだ」

現地の政府職員は、壁を乗り越えて村民の住宅敷地に入ったことは認めましたが、コンクリートでかまどを封じた行為については、「村民と協議したうえで行った」と発言しています。

これに対しあるネットユーザーは「政府職員のこの言葉は、ほとほと理解に苦しむ。なぜなら『コンクリートでかまどをふさぐ』という行為は、村民を『信じていない』からこそ行われたものだからだ。そしてこれは村民に被害をもたらす。どうしたら『協議』したと言えるのか」と疑問を呈しています。

中国の元非政府組織活動家 楊占青氏
「中共当局自身の法律に基づくと、山西省政府の行為は違法だ。彼らは民衆の財産権を侵害した。権力が法の上位にあるのは明らかだ」

中共はスモッグ対策を理由に、民衆に石炭の使用を禁じ、石炭が使用されている地域を「燃焼禁止区域」と「石炭禁止区域」に分けました。「燃焼禁止区域」で使用される石炭は、国が指定した石炭販売店で購入しなければなりませんが、これらの石炭の品質は保証されていません。

山西省洪洞県の村民
「私たちの住んでいる地域は石炭燃焼区域に該当し、国が指定した店でしか石炭を購入できない。しかし庶民に販売される石炭は品質基準に達していない」

最近、河北省において、現地政府が推奨する環境保護「クリーン石炭」を暖房に使用した複数の家庭で、死亡事故を含む一酸化炭素中毒が相次いで発生しました。

中国の元非政府組織活動家 楊占青氏
「その背後には利権が存在しているはずだ。例えば政府と一部販売業者との結託だ。彼らは環境保護の名目でその製品を広く販売している。しかし長期間にわたり洗脳され続けてきた大部分の被害者は、これは地方の政府職員個人が起こした問題だとは考えても、体制に問題があるのだとは理解できないだろう」

中共政府職員が庶民の生活を顧みることなく、かまどをコンクリートで塗り固め、炊事や暖房もできなくしたことについて、あるネットユーザーはこれを「かまどを封じ、人々の口に入る食べ物を絶つ」行為だと語り、「位牌を壊して先祖の墓を掘り返す」のと同じように、ひどい犯罪であり悪行であると怒りをあらわにしています。

中国の元非政府組織活動家の楊占青(よう・せんせい)さんは、「極寒の冬空のもと、中共はかまどを塗り固めて庶民の炊事と暖房手段を封じるという暴挙に出た。短期間で明らかな影響は出ないだろうが、この事件を通じて民衆は中共の本質を見抜くだろう。民衆の積年の恨みがある程度に達したとき、中共政府を打ち砕くほどの力が爆発するだろう」と語っています。

 
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