ソロモン諸島が中国と島の75年賃貸契約締結 専門家「スリランカの二の舞になる可能性」

中国国有企業の「森田企業集団」(チャイナ・サム・エンタープライズ・グループ)が9月22日、ソロモン諸島と秘密協議に署名し、ソロモン諸島のツラギ島とその周辺の諸島部の独占開発権を租借しました。租借期間は75年で、継続も可能とのことでしたが、10月24日になって、ソロモン諸島政府は、賃貸契約は無効であると発表しました。

南太平洋に浮かぶソロモン諸島は9月16日に台湾と断交し、北京と国交を樹立しました。中共当局はそれから一週間もたたずに、ソロモン諸島と島の租借に関する密約を結びました。

米ニューヨークタイムズが10月17日に報じたところによると、中国国有企業の森田企業集団(チャイナ・サム)が9月22日、ソロモン諸島と「戦略的協力協定」を秘密裏に締結し、ソロモン諸島のツラギ島及びその周辺の島における独占開発権を取得しました。租借期間は75年で延長も可能となっています。

協議の内容はソロモン諸島がツラギ島及びその周辺の島を森田企業(チャイナ・サム)が租借し、「経済特区又はあらゆる開発に該当するあらゆるその他産業」の開発に用いるというものです。

今回の協議には、漁業基地と運営センターそれぞれ1カ所の建設と、空港施設の建設又は空港設備の追加と強化も含まれます。さらに協議では、これまで石油や天然ガス資源が見つかったこともないソロモン諸島において、森田企業(チャイナ・サム)が石油・天然ガス埠頭を建設する準備があることにも触れています。

これについて同紙は、中共がツラギ島に軍民共用のインフラを建設する可能性があると報じています。

ツラギ島はかつて、この海域における英国の戦略本部が設置されソロモン諸島の州都でもあった場所で、第二次世界大戦中は日本軍が本拠地を置いていました。島には自然の地形による水深の深い港があるため、軍事戦略上の重要拠点とみなされてきました。

台湾中正大学国家安全センター主任で、戦略国際事務研究所の宋学文教授
「太平洋地域の第一列島線と第二列島線において米国と中国が戦略的競争を繰り広げている場所が、まさにそのソロモン諸島付近だ。それの持つ戦略的意義とは、米中競争における戦略のことだ」

中共の投資は、米国や豪州などを憂慮させているとも報じられています。中共がこれを機会に南太平洋諸島に勢力を伸ばし、艦隊や戦闘機、そして中国の全地球測位システム(GPS)などを配備して軍事的拠点を構築する可能性があるためです。

米国在住の時事評論家、藍述氏
「中共はツラギ島を長期間にわたり借り受けるという。これは中共が軍事力を対外的に拡張するグローバル戦略の一環のはずだ。中共は将来的にはこの場所を、遠洋に出る空海軍用の施設にしようと考えている。恐らくは空海軍の補給基地や、遠洋通信の拠点になるだろう。もしくは航空・宇宙に関する何らかの構想があるのかもしれず、これらのいずれも起こり得る」

ツラギ島の島民は今回の賃貸契約について驚きと怒りを隠せず、中共が島を丸ごと軍事基地にするのではないとの懸念が広がっています。

米国在住の時事評論家、藍述氏
「もし本当にこの島を軍事用途に用いる場合、軍事補給のほかにこの島に情報関連の役割を持たせるのであれば、この場所は米国や豪州、ニュージーランドの軍事協力に対し、一定の監視作用を担う可能性が高い」

今回の島租借協議も含め、ソロモン諸島における中共の浸透について台湾中正大学国家安全センター主任で戦略国際事務研究所の宋学文(そう・がくぶん)教授は、ソロモン諸島の戦略的位置付けのほかにも、中共は彼らの「一帯一路」新バージョンを東へ拡大しようとしていると分析しています。

台湾中正大学国家安全センター主任 宋学文教授
「一帯一路はこれまで西に向けて展開されていたが、これは東へ伸びている。よって一部の研究者はこれを新バージョンと呼んでいる。中国(共産党)はこの機会に乗じてこの地域における豪州の主導権をそぎ落とし、減らそうと考えている。だが私自身は、その力はそこまで大きくないと考えている」

金銭援助外交を展開することで、中共は自身の腐敗も他の新規国交樹立国家に広めています。米国高官によると、中共は長年、ソロモン諸島の政治家に賄賂を贈り続けてきたことも報じられています。議員数わずか50人、人口60万人規模の貧困国家に中共を支持させるために中共がつぎ込む資金と労力は、たかが知れています。

中共の資金を目当てに中国と国交を樹立したソロモン諸島について、台湾戦略シミュレーション学会研究員の何澄輝(か・とうき)氏はかつて「中共はソロモン諸島を利用して、彼らの必要とする戦略的重要地点を建設しようと考えているが、これは中国産業界の一部産業エネルギーを消化して通信、港湾、鉄道、道路などの交通インフラを構築することでもある。これによりソロモン諸島もスリランカ同様に、債務危機に陥り中共に領土を引き渡さざるを得なくなるという債務の罠に落ちる可能性がある」と警告しています。

ところが10月24日、ソロモン諸島政府は、今回の賃貸契約は違法であり、「直ちに破棄しなければならない」と声明を発表しました。これに対し中国政府は「対話による解決」を促すとしています。

米国のペンス副大統領も、10月24日に行った第2回対中政策演説の中で、中国共産党の一帯一路計画には軍事目的があると強く批判しました。