【動画ニュース】ドイツ銀行が中国高官の子女数百人を雇用「郷に入っては郷に従え」

このほど明るみに出たドイツ銀行の機密文書に、同銀行が違法な手段でトップの地位に躍り出る過程が記録されていました。ドイツ銀行は中国は「コネ社会」であるため、共産党上層部に照準を合わせて、金品を贈り人脈を構築しさえすれば、巨額の利益を簡単に手にすることができるということを認識していたのです。

ニューヨークタイムズとドイツ日刊紙の南ドイツ新聞がドイツ銀行について行った調査によると、ドイツ銀行は20年前に中国市場に参入しており、「コネの構築」がその経営法則でした。

この文書には過去15年間の記録が収められており、これまで公開されたことのないスプレッドシートやEメール、内部調査報告及び上層部の談話記録などが含まれています。調査により、ドイツ銀行は規則違反もいとわず、人脈の買収に大金を投じ、専門知識に欠ける中共高官の子弟を雇用していることが明らかになりました。

15,000ドル(約160万円)の水晶の虎、高級オーディオ機材、テレビ、ソファ、豪華ツアーなどが中国高官へ贈られました。ドイツ銀行は、中国市場で主導権と特権を握るためには、「郷に入っては郷に従って」コネを付けなければならないと認識しています。

時事評論家 田園博士
「これら西側企業は中国に入ると、規則や法律を尊重するという西側の姿勢を中国に持ち込むどころか、中国のローカルな政治・経済環境、そしてさまざまな収賄などで彼らに取り入り、同化する。なぜなら彼らは政府高官と結託したら、司法は中国で根本的に無人の地となり、司法は根本的に存在しなくなるからだ」

ニューヨークタイムズは、ドイツ銀行が中国で存続するための三大ゲームルールをまとめました。

一つ目は、政治エリートに高額の金品を贈ることです。中国ではコネがなければビジネスはできません。文書によると、ドイツ銀行からの贈り物の総額は20万ドルを超えており、当時の共産党トップ江沢民もバング&オルフセンのオーディオ機器一セットを受け取っています。

二つ目は、相談役に事業参入費用を支払うことです。中国で「パイプラインを開く」ことは非常に重要で、ドイツ銀行は2005年、中国銀行の株式を大量購入するため、黄(こう)という相談役を雇用して入札情報を入手し、ドイツ銀行の入札を成功させました。報道によると、中国国営企業の顧客を獲得するため、ドイツ銀行は相談役7人に1400万ドル(約15億2000万円)を支払っています。

三つめは、政権エリートの子女の雇用。ドイツ銀行はこれを一種の投資ととらえており、これまでに専門的な経験もない中国政府高官の子女、数十人を雇用しています。この中には当時の中央宣伝部部長、劉雲山(りゅう・うんざん)の息子、全国人民代表大会委員長、栗戦書(りつ・せんしょ)の娘、中央政治局常務委員会委員、汪洋(おうよう)の娘の汪渓沙(おう・けいさ)などが名を連ねています。ドイツ銀行は当時、汪渓沙について、広東省のある国営自動車企業とのパイプラインを持っていると評価していました。

調査により、ドイツ銀行の中国業務部門には何百人もの中国高級幹部の子弟、いわゆる「太子党」が勤務しており、そのうち19人は地位の高い「コネ職員」で、銀行に1億8900万ドル(約206億円)もの利益をもたらしていることが分かっています。

時事評論家 田園博士
「中共は紅二代(革命に参加した経験のある高官の子女)に関する情報の漏洩を厳しく制限している。つまり、彼らについて私たちが知ることのできる情報は極めて少ない。特に彼らの多くについては名前すら知られていない。彼らが外で使用するのは仮名だ。つまり、こうした西側の企業が仮名の高官子女を雇用した場合、私たちのような外部の観察者が、企業が紅二代を雇っていることを知ることはないだろう」

今年8月、ドイツ銀行がビジネスの成功や業務保留の切り札として外国高官の子女を雇用したことが指摘されました。米国証券取引委員会は連邦海外腐敗行為防止法に違反したとして、ドイツ銀行に1600万ドル(約17億4000万円)の罰金を科し、ドイツ銀行は罰金の支払いと和解に同意しました。

中国市場への参入を望む業界は増加の一途をたどっていますが、中国でビジネスを行うためには中国共産党に従わなければなりません。

中国出身の香港人ビジネスパーソン、陸偉萍さん
「以前の不文律は、現地の役人にこびへつらわなければならないというものだった。それが終われば、基本的には電話一本で話が済む。役人にもいろいろいて、金銭を贈ったり、旅行に行かせたりもした。その旅行で金を渡し、それから女性を同伴させる。金銭のやり取りは避けられないことだが、その役人が倒れた場合、営業を継続できるかどうかが大きな問題だ」

「香港ビジネス投資権益注視グループ」メンバーの陸偉萍(りく・いへい)さんは、中国投資における落とし穴は防ぐにも防ぎようがないと述べます。グループにはかつて中国への投資経験のある200人のメンバーがいるが、彼らが最終的に得たのは振り返るのも忍びないものだったと語っています。

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