世界に広がる中国モデルの監視システム あなたも監視されている?

監視カメラ設置台数の最も多い都市世界ランキングのトップ10に中国の8都市がランク入りしました。中国政府は現在、5Gパトロールロボットを使って、街を歩く人々の一挙手一投足を監視しており、さらに中国当局が推進している社会信用システムの魔の手は外国企業にも伸びています。中国は「一帯一路」を提唱することで、中国の情報通信産業を海外に輸出して中国式監視モデルを世界に普及させようとしているとの研究報告もあります。

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現在、中国の各都市には無数の顔識別装置が設置されていますが、このほど上海に5Gパトロールロボットが導入されました。

官製メディアの人民日報は、パトロールロボットにはズーム高画質カメラや赤外線サーモグラフィー、広角高画質カメラなどが装備され、360°完全サーチが可能であるほか、顔認証機能も備えており、撮影された画像は即時警察に伝送されると報じています。つまり、上海の民衆は「ビッグブラザー」にいつでも付き添われているため、自身の一挙手一投足に注意を払う必要があると言えます。

監視カメラ設置台数世界ランキングのトップ10に、中国の重慶、深圳、上海、天津、済南、武漢、広州、北京の8都市がランク入りしました。

北京の時事・政治ウォッチャー、華頗氏
「監視システムはただの設備にすぎず、誰がそれを使っているのかを理解する必要がある。例えば銃が一丁あったとする。善人が持てば身を守るため、正義のために使うだろうが、悪人が持てば悪事に使うだろう。西側の自由な社会、民主主義社会では、(監視システムは)犯罪への対処に使われるが、中国の国家体制は特殊だ」

中国には現在、約2億台の監視カメラが設置されていることが分かっており、2022年にはさらに213%増加して6億2600万台に達すると予想されています。現在の人口比率に照らして計算すると、およそ二人に一台の割合で監視カメラが設置されることになります。北京在住の時事・政治ウォッチャーの華頗(かは)さんは、中国当局の体制は政治に不満を抱く人たちを犯罪者とみなしていると指摘します。

北京の時事・政治ウォッチャー、華頗氏
「例えば陳情者は、まだ中共政府を信じているからこそ政府機関に問題を提起してそれを解決してもらおうと考えている。だがこの行為も犯罪とみなされ、監視対象とされる。この種の監視範囲が広がり、善人を犯罪者として扱う。これが中国の特徴だ」

これだけでなく、「中国式監視モデル」が世界へと広まっています。オーストラリア在住の研究者、張小剛(ちょう・しょうごう)さんは、こうした中国式監視モデルはすでに海外へと広まっていると指摘しています。張さん自身がオーストラリアでこうした事例に遭遇し、自身の微信(ウィーチャット)のメッセージを監視されたことがあると語っています。

オーストラリア在住の研究者、張小剛氏
「ここ数年、彼らはインターネットや電子技術、情報技術の発展を利用して、新型の監視を全面的に展開している。これはオーウェルの小説『1984』で描かれた想像上の話をはるかに超えており、いたるところに蔓延している。人の思想から行動まですべて監視し、人間を社会を構成する機械の一部とみなしている。これは非常に恐ろしいシステムだ」

中国共産党が現在構築中の企業版「社会信用システム」について、中国の欧州連合商工会は「これは非常に強大なツールであり、企業に対する指向性の高い監視、コントロール及び指導を可能にするものだ」と警告を発しています。

オーストラリア在住の研究者、張小剛氏
「この社会信用システムの主な目標は、個人だけでなく多くの企業、中国でビジネスをするすべての企業を対象としている。当然外資系企業にも及び、中国で経済活動を行う企業の海外における運営にも及ぶ。よってこの種の監視システムが全世界に広まるのは確実だ」

米国の外交政策シンクタンク、カーネギー国際平和基金は9月17日に報告書を発表し、「世界75カ国でAI技術による民衆監視が行われており、ファーウェイはその主な技術サプライヤーだ」と指摘しています。

北京の時事・政治ウォッチャー、華頗氏
「ファーウェイなどは狼のような企業だ。彼らは外国企業を侵食している。一種の戦略だ。例えば5Gネットワークの構築。ファーウェイは一部の国に5Gネットワークを無償で提供しているが、これらの国はファーウェイに依存せざるを得なくなる」

張小剛さんは、ファーウェイの戦略は将来の戦争のための準備の一部だと理解してよいと考えています。

オーストラリア在住の研究者、張小剛氏
「国際社会が単純に警戒するだけで済む問題ではない。直ちに相応の措置を取って中共のこうした脅威、この(技術の)発展を打ち砕かなければならない」

英国の著名な作家、ジョージ・オーウェルは小説『1984年』の中で「ビッグブラザーは君を見ている」と記して、民衆の生活が監視下に置かれて秘密警察と思想監視が普遍化した社会を表現しています。現在、中国ではこの小説で描かれたことが現実になりつつあります。

張さんは、現在の状況はすでに「火事のあとの火の用心」であり、世界中の民主主義国家はこうした監視システムを共同で制止すべきだと述べています。

 
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