党幹部御用達の「赤壁の御典医」広告が突然の削除 「臓器再生」は「臓器移植」

北京の中国人民解放軍301医院がSNS大手の微信に出した広告をめぐり、庶民の間で議論が湧き起こりました。この広告は掲載日の翌日に突然削除されましたが、病院が宣伝した「981上級指導者健康プロジェクト」について、人々から好奇の視線が注がれています。

中国SNS大手の微信(ウィ―チャット)に9月15日に投稿された、北京301医院の広告がネットユーザーの間で物議をかもしました。この広告は政府指導者向けの医療サービス「981上級指導者健康プロジェクト」を宣伝したもので、寿命を150歳まで延ばすことが目標にされていました。指導者らは人民の血と汗で寿命を延ばそうとしているとの疑念が広まり、さらに広告に「内臓機能の再生」という敏感なキーワードが使われていたため、広告は翌日には削除されました。

当局は同時に、百度(バイドゥー)百科などに掲載されていた「981上級指導者健康プロジェクト」の関連情報をすべて削除しましたが、このことで逆に興味をそそられた民衆が、関連情報を保存したり公開したりしています。

中国版ウィキペディア「互動百科」には、「981プロジェクト」の起源について1927年に当局が井岡山に設立した最初の紅軍医院までさかのぼることができると記されています。その後、1950年に当時の中国五大書記の1人、任弼時(じん ひつじ)が脳溢血で突然死亡したことを憂慮した他の党幹部らが設立したのが「中央保健チーム」でした。1953年には中国中央軍事委員会直属の病院が「解放軍第301医院」に改名され、党幹部の医療ケアを専門に行うようになりました。その後「上級指導者健康医療保健システム」は成熟度を増し、2005年には軍隊医科院の管轄下に置かれて現在の「上級指導者保健」課題チームが組織されました。

この保健システムが現在の形に発展し、驚くべき「赤壁の御典医」システムが形成されました。公開された情報には党幹部へ長年にわたり専門的に医療サービスを提供してきた専門家が、国内外の先端医療・保健技術を取り入れていること、国際的にも時代の最先端をゆく高度な予防医療・健康設備と分子診断検査室を備えていることが明らかにされ、党指導者らに「大病せず、若さを保ち、より長生き」してもらうために心血を注いでいると記されています。

資料には「981プロジェクト」は三つのプロジェクト、五つの任務、六つの体系に分類されています。どれもが複雑な分野で、国を挙げてマンパワーと資金を投入しています。

米国在住の時事評論家、唐靖遠氏
「つまり、国全体が医療・健康分野における最先端の資源をすべて、この極めて少数の権力者たちにつぎ込んでいるということだ。以前にあるメディアがリークしたデータによると、国家級の補佐職以上の高官にかかる医療保健の年平均支出額は一人当たり2700万元(約4億932万円)を超えている。また中国科学院の調査報告によると、中国の現在の医療費の80%が、実は850万人の党幹部に費やされている」
中国政府の統計データによると、2018年の中国人の平均寿命は77歳ですが、「981プロジェクト」は「88歳まで健康に過ごし、150歳まで長生きする」ことを目標に掲げています。これは中国人の平均寿命の二倍に相当します。

しかし、人間の老化をそこまで遅らせることは可能なのでしょうか。

米国在住の時事評論家、唐靖遠氏
「人の寿命を二倍に延ばすということは、その人のほとんどすべての臓器を新しいものに入れ替える、移植するということを意味する。しかも一回では終わらない。現在の技術では心臓、肝臓、腎臓といった臓器の種類に関わらず、移植後わずか5年から10年しかもたないからだ」

削除された広告と公開された資料の中ではいずれも「臓器機能の再生」という言葉が使われていました。

米国在住の時事評論家、唐靖遠氏
「人間の臓器のなかで、機能が完全に再生できるのは肝臓だけで、その他の臓器については移植か医療機器に頼るしかない。しかも肝機能を再生させるには肝臓の三分の一以上を残さなければならないという前提条件がある」

米国在住の時事評論家、邢天行氏
「中国共産党は常に言葉遊びを繰り返している。人間の体があるレベルに達したら『臓器を再生できる』とは言えないからだ。乳歯は抜けても生えてくるが、ある年齢に達したら歯は生えてこなくなる。『臓器再生』とは臓器移植にほかならない」

臓器移植と中国当局との関連性を疑う声が後を絶たないなか、今回「赤壁の御典医」の広告から思わぬ情報がとびだしました。あるネットユーザーは「この広告を出した目的は何なのか?民間人の金持ちにも寿命延長に大金をつぎ込ませることで、臓器移植産業チェーンに支柱産業としての役割りを期待しているのか。それとも病院が金儲けに追われてうっかり秘密をもらしてしまったのか」と投稿しています。

公開されたデータによると、「981健康プロジェクト」は2011年には市場化を終えており、「赤壁の御典医」体系は党指導者のほかにもエリート層に向けたサービスを展開しています。

あるネットユーザーはツイッターに「当局は金に困らないし、臓器も不足しない」とツイートしています。また多くの人は、「彼らは健康な法輪功学習者やウイグル族、そして若者を殺害し、その臓器で延命している」「高官は臓器がダメになっても、14億の中国人から選びたい放題だ」などと投稿しています。