【動画ニュース】中国政府が不動産市場依存経済からの脱却を検討

経済状況が日増しに悪化する中、中国共産党の基幹産業である不動産市場も危機に直面しています。裁判所はこのほど、河北省唐山市で一日に不動産企業6社の破産を宣告しました。業界は、不動産市場が中国経済を実体経済からバーチャル経済へと向かわせ、最終的には破滅させる可能性があるとして、中国の経済モデルを疑問視しています。

中国裁判所公告網は、河北省唐山市で8月17日、不動産企業6社が破産宣告を受けたと発表しました。

これより前、中国の「証券日報」は今年上半期に全国ですでに不動産会社271社が破産宣告を受けたとして、これには代表取締役が長者番付「胡潤百富榜」にランク入りした「銀億地産」も含まれていると報じています。

裁判所の公告によると、8月中の22日間で中国の不動産企業32社が破産しています。その大半は各地の有名企業で、広州の「広州粵泰集団股份有限公司」、安徽省六安市で最大の不動産会社、振興集団、上海の「華房房地産置業有限公司」はなども名を連ねています。

中国メディアは、中国電建地産集団有限公司はわずか1元で河南中新置業有限公司の財産権の51%を譲渡したと報じています。

未完成の建物も多く、各地方政府が投資した観光推進計画においても、資金ショートにより建築を中断せざるを得ない事態が生じています。

中国江蘇省の丹陽投資集団有限公司の代表取締役で最高投資責任者の康水躍(こう・すいやく)氏は今年7月、英日刊紙のフィナンシャル・タイムズに、2019年の中国不動産企業の破産件数は600社を超えるとの見方を発表しています。

中国不動産大手の恒大集団(Evergrande Group、エバーグランデ・グループ)も2019年上半期に業績が50%近く悪化し、過去10年で最大の下落幅を記録しました。別の大手、碧桂園(Country Garden、カントリー・ガーデン)も今年上半期に15,000人をリストラしました。

中国の経済学者 劉さん
「国が不動産市場を運用するという中国の経済モデルは、基本的に行きつくところまで来ている。土地の販売によって経済をけん引し、それから不動産市場を開発しても、それを持続できなくなってしまった」

不動産企業の債務もふくれ上がっています。恒大集団の債務は1000億ドル(約10兆6900億円)に達し、昨年末までに恒大集団がサプライヤーに対し、200億ドル(約2兆1380億円)近くの借用証書を発行したことも報じられています。

中国の金融データ「Wind統計」によると、中国の不動産企業が2019年に入ってから国内外で新たに発行した債券はすでに6047億元(約9兆812億円)に達しています。2017年から現在までに不動産企業が内外で発行した債券の規模はすでに1兆元を超え、その大半が米ドル建て債券です。今年の1月から7月末までに中国の不動産企業が海外に向けて発行した債券は、2017年と2018年の数を上回りました。

米中貿易戦争に対応するため、中国政府が人民元を下げ続けた結果、不動産企業の海外債券発行コストがさらにかさみ、目下多くの不動産企業が米ドル債券の払い戻しを繰り上げて行っています。こうした状況が、深刻な債務を負った不動産企業にさらに追い打ちをかけています。

米サウスカロライナ大学エイケン校の謝田教授
「中国の債務率、レバレッジや過度の負債といった問題は常に存在し、ますます深刻になっている。人民元は今また下がり、中国の外貨準備高が枯渇し始め、生産力も下がっている。大規模な破産が必ず発生するだろう」

中国の経済学者、劉さんも、中国政府が購入制限をはじめとする複数の手段で不動産市場を維持したとしても、すでに不動産価格を維持できなくなっており、不動産バブルが弾けたら不動産価格が下落に向かうだろうと考えています。

中国の経済学者 劉さん
「中国の不動産市場が危機に陥ったらひどいものになる。銀行に影響が出るほか、政権を握っている党の地位にも影響する可能性がある。中国経済は基本的に、国有企業や国の投資がけん引している。庶民のニーズが中国の経済成長に与える影響は限定的で、経済を主導しているのは国有企業だ。そのため不動産のマクロ調整というモデルが疑いの目を向けられると、人々からの信頼も失ってしまう」

中国メディアは、中国政府はすでに不動産分野を今後も基幹産業とし続けるかどうか検討し始めたと報じました。国家発展改革委員会は、過剰な流動性は主に不動産分野に集中しており、不動産市場の長年の過度な成長が不動産価格の急激な上昇をもたらしたために国民の怒りを買ったとして、不動産開発業者に対する超過利潤税の適用や、居住者のいない不動産への課税を行い、居住用住宅に対しては不動産譲渡所得税を50%に引き上げて、不動産分野を基幹産業とすることをやめ、さらに建築中の分譲物件の販売を止める必要があるとの意見を提出しています。

不動産大手も方向転換を開始しました。碧桂園(カントリー・ガーデン)は2018年にロボット会社「広東博智林機器人有限公司」を設立し、ロボット業務を将来の三大重点分野に組み込むと発表しました。「融創中国」(Sunac China Holdings Limited、サナック・チャイナ)も2018年に旅行会社「融創文旅集団公司」を設立し、恒大集団は新エネルギー自動車産業チェーンに投資しています。

これについて、中国経済に水太りの成長をもたらしてきた不動産分野が、瀕死の危機に直面する可能性があるとの見方があります。