【動画ニュース】中国で「精神日本人」漫画家ら9人が拘束 進む言論統制

中国の六つの都市の警察は7月28日、いわゆる「精神日本人分子」9人を拘束したと報じました。そのうち22歳の女性は、豚を描いた漫画シリーズ『猪頭人身』を発表して中国を侮辱したとして拘留、逮捕されました。これについて、中国の言論弾圧がさらに進んだとの見方があります。

中国メディアの「澎湃新聞」(ザ・ペーパー)は、遼寧省大連市、安徽省淮南市(わいなんし)、湖北省武漢市、湖北省宜昌市(ぎしょうし)、安徽省宿松県(しゅくしょうけん)、江蘇省南京市の警察が7月28日に合計9人の「精神日本人分子」を拘束したことを報じました。彼らは「中国侮辱」漫画を描いた、国民の情報を盗んだ、反中国の「精神日本人グループ」にサービスを提供したなどの罪に問われています。

安徽省淮南市の警察が拘束した22歳の漫画家、張冬寧(ちょう・とうねい)さんは日本の漫画が好きで、彼女が創作した『猪頭人身』(豚の頭に人の身体)シリーズが、警察から「中国人のイメージを侮辱し、中国の歴史を歪曲し、世間で話題となっているニュースを曲解した」と指摘されたと報じられています。警察はさらに張さんが創作した300余りの漫画が日本にいる盧(ろ)さんという男性に提供され、この男性がインターネットで発表したことも指摘しています。張冬寧さんに対しては、すでに逮捕の許可がおりています。

中国の非政府組織の元活動家、楊占青(よう・せんせい)さんは、中国当局は現代中国社会の醜悪な現象や、政府の暗部を暴くものについてはすべて「中国を貶める」行為とみなしていると指摘します。

中国非政府組織の元活動家 楊占青さん
「『猪頭人身』シリーズの漫画が反映していたのはすべて、中国政府の敏感な問題だった。例えば退役軍人の物乞いや、食品・薬品の安全、愚民洗脳手段である抗日ドラマなど、漫画の内容は当局を不快にさせた。もし漫画の内容が当局に媚びを売り、安定社会を取り繕うものであったなら、ポジティブな漫画の典型として中国の人気ブロガー、周小平のような待遇を受けていたかもしれない」

同時に遼寧省大連市の警察は、「精神日本人分子」の盧(ろ)という人物を、国外のインターネットで張冬寧さんの別の漫画『橘豚』を発表し、いわゆる「反中国」と国のイメージを損なう「精神日本人」的言論を継続的に発表したことを理由に刑事拘留したと発表しました。

これらのことから、盧さんは国外から帰国した時に警察から刑事拘留されたことがうかがえます。

「精神日本人分子」として拘束されたとして、湖北省武漢市の張さん、湖北省宜昌市の李さん、江蘇省南京市の戴さん、安徽省宿松県の葉さんの4人の名前も挙がっています。

いわゆる「精神日本人分子」とは、中国で日本に親しみを覚える中国人に対する呼称で、「精神面では日本人」を意味しています。一般的に「精神日本人」分子は日本の社会、経済、文化などに親しみを感じています。

インターネットの自由ウォッチャーの古河さんは、いわゆる「精神日本人」は聡明な中国人のグループであり、彼らは中国社会と日本の社会に対し、かなり踏み込んで系統的な分析を行った結果、日本の社会のさまざまな分野はすべて中国の社会よりも優れていると認識していると考えています。

インターネットの自由ウォッチャー 古河さん
「この最終的な結論は、実際には中国共産党が数十年行ってきた中国大陸の統治を否定するものであり、最終的な成果は立ち遅れており、非人道的なものだとしている。だから『精神日本人」のこの根源的部分は、中国当局にとっては反共行為なのだ。これが、中国当局が「精神日本人分子」を取り締まる理由だ」

警察は、盧さんが国外で橘豚「猪頭人身シリーズ」の漫画を発表したことが中国の刑法に触れたために、盧さんが中国に帰国した際に刑事拘留を行ったと発表しています。

いっぽう古河さんは、これは深刻な誤りだと考えています。中国の法律は中国国内だけで有効であり、国外で適用することはできないためです。よって、中国国民が国外でいわゆる中国の法律に抵触したとの理屈は成立しません。

インターネットの自由ウォッチャー 古河さん
「中共政府は中国国民が海外で行った行為について法的管轄権を行使しているが、実際にはこれは違法行為であり、無効で、国際法にも合致していない。中国国民の海外での言動は、現地の法律が適用され、中国の司法機関の管轄下には置かれない。もしこうした二重管理は法的な衝突や矛盾が生じる可能性がある」

楊占青さんは、中国当局は海外のSNSで発表された情報を削除することはできないため、こうした刑罰を適用して中国国民の海外での言動を国の刑罰条例に厳格に当てはめていると指摘しています。

中国非政府組織の元活動家 楊占青さん
「海外の大部分の中国人は、自由社会にいてもなお恐怖心から言論や行動に対する自主規制を行う。中国政府は、このような規定によってある程度、海外で言論統制が実施できないことを補足し、国内外の言論統制という目的を実現している」

楊占青さんは、大阪で開催されたG20サミットで日中関係が改善したが、中国当局は民間人の間で政府部門を通さずに日本を称賛することは望んでおらず、さらに中国当局を貶める機会にはさせないと語っています。