【動画ニュース】大量倒産の前奏?中国が民営企業に解雇禁止令

先日、中国の人的資源・社会保障部が記者会見を行い、今年上半期の雇用情勢は全体的には安定していると発表しました。いっぽう、企業に対しては従業員をなるべく解雇しないよう求めています。専門家は、この矛盾する言い方は中国の雇用情勢の厳しさを物語っていると指摘します。

7月25日、中国の人的資源・社会保障部は2019年第2四半期の記者会見を開き、今年上半期の雇用情勢は全体的には安定しているとしながら、引き続き「安定雇用」を最優先課題とし、企業が従業員を解雇しない、またはなるべく解雇しないことを奨励すると述べました。同時に、失業者に対しては実名による管理を実施すると発表しました。

米サウスカロライナ大学エイキンビジネススクールの謝田(しゃ・でん)教授は、当局のこの矛盾する言い方から、中国の雇用情勢の厳しさが窺えると述べます。

米サウスカロライナ大学エイキンビジネススクール 謝田教授
「中国の雇用情勢は非常に厳しい。中共はこの種の強制的な方法で、民営企業の解雇を減らそうとしている。中国の失業問題は、相当深刻だと考えられる」

謝田教授は、人的資源・社会保障部のこの種の居丈高な態度は、当局の官僚の考えが依然として数十年前の計画経済時代にとどまっているからで、数十年前の国営企業の管理方法で民営企業を管理しようとしていると述べます。

米サウスカロライナ大学エイキンビジネススクール 謝田教授
「中国の民営企業は政府に逆らえないので、嫌嫌従う。そうなると、官僚が高圧的な態度で圧力をかけてくる」

謝田教授は、「中国人は役人の横柄な態度に慣れているが、同時に彼らを恐れている。そのうえ中国の民間には力のある労働組合がないため、役人が敢えて威勢を張ることが多いが、西側社会ではありえないことだと述べます。

米サウスカロライナ大学エイキンビジネススクール 謝田教授
「西洋社会では、民営企業は損益の責任を自分で負う。役人が介入するのはありえないことで、唯一やっていいのは税務上の優遇だ。企業が赤字経営なのに、雇用安定のためにリストラしてはならないと言うのはありえない」

中国では米中貿易戦争の影響で、外資系企業の撤退が加速し、大量の失業者を生み出しています。

チャイナ・インターナショナル・キャピタルコーポレーション(CICC)は、米中貿易戦争による失業者は200万人に上ると推計しています。しかしこの数字には、米国が5月に25%に引き上げた制裁関税による失業者数は含まれていません。

したがって、人的資源・社会保障部が発表した雇用問題に関する一連の解決策は、企業の大量倒産を目前にした安定維持策に過ぎないと見られています。

中国問題研究家 李さん
「倒産の波がもうすぐ押し寄せてくる。今の社会では多くの若者が職に就けず、就職のチャンスもない。企業が倒産すれば、収入がなくなり、食い繋ぐこともできない。庶民はすでに、食うや食わずの生活を送っている」

人的資源・社会保障部の解雇回避の奨励を発表したことに対し、ネットユーザーは「企業も仕方なく人員削減を行なっている。どうしても解雇せざるをえなくなると、いくら奨励しても無駄ではないか」と指摘しています。

別のユーザーは、「新たな業務もなく、10年間も売掛金が回収できていない。オフィスに座っている従業員はもはやサビつきそうなのに、どうやって雇用を生み出すのか」「経営が行き詰まっているのにリストラしてはならないと言われると、たたむしかない」と嘆いています。

米サウスカロライナ大学エイキンビジネススクール 謝田教授
「企業が経営が行き詰まり、受注もなく、生産もできないので、従業員を養うことはできない。解雇するしかなく、いくら中共でも対策はないはずだ」

米国が関税の引き上げを発表してからまもなく、北京当局は農民工の大規模失業によって引き起こされる社会の不安定を防ぐために、解雇による影響を監視監督する「特別協調チーム」を立ち上げました。

また、人的資源・社会保障部は失業者の実名管理を実施するとしていますが、これにより失業者は収入源がなくなるだけでなく、個人の自由も管理されるのではないかと懸念されています。

米サウスカロライナ大学エイキンビジネススクール 謝田教授
「中共は実際は統制の偏執狂だ。もう一つ、中共はこれらの失業者が不安定要素になるのを恐れている。強制的に安定が維持されている社会では、失業した流動人口は当局にとって非常に危険な存在である」

謝田教授は、「中国共産党の間違った経済政策によって中国の経営環境が悪化し、経済が衰退に向かい、大勢の失業者を生み出した。そのうえ経済に対する統制と不平等な貿易によって米中貿易戦争を引き起こし、中国の失業問題をさらに深刻化させている」と述べます。経営が行き詰まった企業に対し、人員削減しないよう求めるのは、道理にかなわないと指摘します。