【動画ニュース】中国漁民のチャイナ・ドリーム

中国・河南省の孫連熙(そん・れんき)さんは、祖父の代から黄河で魚を捕獲し、生計を立てています。本日は、存在すら忘れられている社会底辺の庶民にスポットを当てます。

今年32歳の孫連熙(そん・れんき)さんは黄河のほとりの漁船の上で生まれました。黄河と淮河(わいが)で漁船を走らせ、魚を捕獲してその日その日を過ごす。これが孫さんの生活の全てです。

河の対岸は、高層ビルが立ち並ぶ鄭州市。河南省の省都であり、中国中部の商業の中心地です。中国は世界2位の経済大国になったと、近年盛んに宣伝されています。

しかし孫さんのチャイナドリームは、漁船の上で座礁したままです。

河南省の漁民 孫連熙さん
「あれらの高層ビルが私と何の関係がある?何の関係もない。高層ビルは他の人のもので、我々のものではない」

高層ビルに掲げられている「党中央の政策を断固として実施し、闇勢力の犯罪に厳しい打撃を与える」などの政治宣伝は、なおさら遥か先のことのように思えます。

河南省の漁民 孫連熙さん
「今は魚を捕るのも違法になっている。漁をしなくたっていい。セメントやレンガ、砂を運ぶ仕事でも、あればしたい。1日80〜100元(1200〜1600円)稼ぐだけでもいい。一家が食べ物に困ることなく、親子が一緒に暮らせるだけでいい。他のことは考えない。問題は、今はこんな生活も贅沢で望めない」

孫さんは一家4世代の17人家族です。もともと船屋(ふなや)を所有していて、その上で食堂を営んでいました。しかし2年前、地元当局の強制立ち退きに遭い、今は黄河のほとりに粗末な小屋を作り、寝泊まりしています。

河南省の漁民 孫連熙さん
「ここに住んでいる。あちらもだ。息子はここで遊びまわっている。息子はここを家だと思っているんだ」

孫さんにも夢があります。習近平主席が掲げたチャイナドリームとは比べ物にならない、小さな夢です。孫さんの夢は、自分の家を持つことができ、仕事に就き、漁に出ないことです。

河南省の漁民 孫連熙さん
「私の夢見る生活は、一家が一緒に住める家があり、私がアルバイトでもして、漁に出ないことだ」「現状を変えるには、今の仕事をやめるしかない。そうすると、子供の将来は変わるかもしれない」

習近平主席は2013年の全人代で、チャイナドリームという言葉を何度も繰り返し、「近代化、小康社会の全面的な実現」という目標を掲げました。孫さん夫婦の収入は、二人合わせて月8000円から3万円ほどです。孫さんのような社会底辺の庶民はますます窮地に追いやられ、チャイナドリームは彼らにとって手の届かない儚い夢にすぎないようです。